ＰＭ １２：００ 〔 Ｈ×Ｈ 〕 ...Quwrof...

…流星街出身者… ページ15

午後のひとときをソファーに寝そべり満喫するクロロ。

体調が万全でないのもあるが歩き詰めだった体が重い。



『大丈夫？ 念の為にもう１本点滴しておこう？』


「…あるなら頼む。 早くここを出ないといけないからな」



他人の別荘、しかも扉を破壊し保存食も荒らされたと知ったら家主は相当お怒りだろう。

自分だけなら何とでもなるがAをそういった類の犯罪に巻き込みたくはなかった。


バックパックから高カロリー輸液とアルコールワッテを用意する手際は良い。

だが先程の飲み物もどきの「何か」を見せつけられた後では何だか色々怖い。



『消毒するよー』


「待て、一度確認させろ」


『何で？ 昨日と同じのだよ？』



Aから薬瓶と点滴パックを奪い、説明文に目を通す。

大丈夫だなとしっかり納得してからそれをAに返す。



『クロロ変なの』



Aの味覚とセンスよりマシだ。

それを言わないのは大人のマナー。


殆ど痛みを感じさせず上手く針を静脈に通すA。

テーピング固定して歩き易い様にもされていて関心する。


しかしたかが針を通すのが上手い位でイルミがAを雇うのか疑問に思う。

イルミの完璧な暗殺は相当な腕力と主戦力の針だがAは別に針マニアではない筈だ。



「何故イルミの執事を引き受けた」


『…クロロ達の情報買うのに家売っちゃったしね、住み込みＯＫだから丁度いいの』


「金なら俺の除念が終わったらすぐどうにでもなる、だから断れ」



嘘ではないのでクロロに疑われず「執事」で話を通す。

それにしても何故イルミがクロロに電話をしたかがAには気になっている。



『クロロだって分かるでしょ。 流星街出身者は雇い口が少ないの』


「無資格で闇医者をして金回りのいい奴はいる、もっとズル賢くなれ」


『そういうの…無理だよ……』



Aには出来ないのだ。

もう人との関わりをあまり持ちたくなかった。

黙々と長距離運搬する仕事の方が性に合った。


クロロ達に置いていかれた事を恨んでいない。

むしろ外の世界へ出るきっかけになったから。



「いつからイルミの所で働くんだ？」


『クロロの除念が終わってから。 ねえ、念の鎖が心臓にあるんだよね、痛くない？』


「団員との接触、念を使用しなければ全く何も感じない、それが不気味ではあるな」


『早く除念を済ませて皆に会わないとだね』



心臓に、鈍い痛みが走った。

念の攻撃とは違う別の痛み。



「……ああ」

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