呪いの恋歌 〔 Ｈ×Ｈ 〕

タヨレル カセイ ページ21

「あ、執事達の飛行船に近づいてる」



イルミは席を立ち操舵室へ向かう。

ヒソカも付いていくとかなり下方に小さな点、飛行船が見えた。



「あと１時間ちょっとで家に着く。 最終確認だ、このままでいいんだね？」


「さっき言っただろう？ 特にAに執着する君の家族の話を聞かなくちゃだからねぇ」


「これだけは聞いておく。 彼女をヒソカの果実と認めつつ狩らない理由」



返答次第ではヒソカを私邸に入れない為にかイルミの戦闘力が上がっていくのが分かる。



「うー…ん…Aは未完成な果実だから…カナ」


「ダウト。 それならヒソカはとっくに彼女に興味なんか失って放置するか殺してる筈だ」



やはり君は鋭いねぇ、とヒソカはイルミの観察力に惚れ惚れする。



「じゃあ言い方を変えよう、Aは未完成で完成系…その最終形態を見届けたいんだ」


「？ 全然分からないんだけど」


「当然さ、ボクだって分からないからこうしている。 これ以上の答えはもうないよ」



何度目か分からないため息を吐き、イルミも覚悟を決めた様だ。



「ヒソカが勘でしか言わないなら俺も俺の勘の感想を言うなら…彼女は危険であり必要な存在だ」


「イルミこそ矛盾した変な事を言うじゃないか」


「分かってる。 俺の勘でしかないし、理屈に合わないからあんまり気がのらないんだよね」



目的なく暗殺をする訳ではないゾルディック家。

だからこそ伝説の様に扱われ暗殺者という恐ろしい存在でありながら憧れられている。



「そういえばイルミ、針を使わないで操作出来るのかい？」


「ああ、ヒソカの真似してみたんだよね。 傷付ければヒソカが煩そうだからこうやって…」



医療用テープを持ち念を込めるイルミ。

イルミの念も戦闘も針が主力だが、ヒソカが騒ぎ暴れるのを防ぐ為にテープを代用した。



「普段もそれにすればいいじゃないか」


「テープは取れやすいだろ、操作した奴がヘマしても針なら対象に掠ればいいからね」



イルミの念は強く、針が刺さらずとも傷がつけば短時間は操作可能。



「やられたよ…Aが途中で席を立つなんて有り得なかったんだ…イルミ酷いなぁ」


「付き合う相手は選びなよね。 特にヒソカなんて誰かれ構わず敵を作るタイプだろ」



イルミがそれ言う？ と思うヒソカ。

だがそのイルミが自分を「付き合う相手」にチョイスしてくれた事を喜ぶ。




A、君はツイてる。

ヒソカに加えイルミも少なからず君の味方だ。


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