快晴のヒマワリ ページ22
太輔は予定通り、いつもの時間に薔薇を買いにやって来た。いつも通り、まっ赤な薔薇の花束をプレゼントされる。
…でもオレはまだ、例のニュースの気持ちの整理がついてなかった。
それを隠しきる事ができなくて、また、太輔もオレの様子が違うのにはすぐ気づいたみたいだった。
薔薇をオレに贈った太輔の表情が、心配そうに曇る。
「…渉？なにかあった？」
そう聞かれて、どきっとする。
心配そうな太輔の顔と、声。
これは…本当にオレを心配してくれてる…？
それとも…オレを研究材料として利用するための演技…？
途端にこんな思考になってしまう自分の醜い心が情けなくて恥ずかしくて、同時に、心配そうな顔をしてくれる太輔の眩しさにくらりとした。
自分の醜さを再認識させられた気がして、胃の奥がきりりとする。
「…太輔は」
オレの声は、そこで止まってしまった。
何を聞くつもりだったんだろう。何を、言うつもりだったんだろう。
毎日くれる薔薇は、ドラマに向けての予行練習だったのかって？
そんなわけない。
そんなわけない、はずなのに。
「…ごめん。なんでもない」
「渉」
「花、ありがとう。また後で配達に行くから…よろしくお願いします」
ゆっくり頭を下げるオレに、太輔の強いまなざしが突き刺さる。問い詰めるような悲しんでるような、そんな、強くて暗い視線だ。
聞きたいことはいっぱいある。
いっぱいあるけど、でも、口に出す勇気はない。
いい人だと、思われたいから。
オレのくだらない質問のせいで太輔の顔が歪むのは、太輔のオレへの評価が悪くなるのは嫌だから。
「…うん。そっか、わかった」
しばらくの沈黙の後、オレの頭に落ちてきたのは、太輔の静かで柔らかな声だった。
顔をあげると、少し寂しそうに微笑む太輔が目に入る。
「じゃあ、待ってるね。あとで、またね」
どこまでも綺麗できらきら光る彼の声は、花束を抱くオレの親指をぴくんと痙攣させた。
贈られた花束を見た千賀と宮田に冷やかされながら、おにぎりをひとつ噛る。ゆっくりと椅子に座ってひと息ついてから、車に乗り込んで太輔の元へ向かった。
「渉！いらっしゃい。ご苦労様！」
いつも通り、嬉しそうな笑顔の太輔が出迎えてくれて少しだけホッとする。
さっき、オレのせいで少し変な空気になっちゃったのが気になってたから、太輔のほうから普通に接してくれて助かった。
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風華(プロフ) - ソフィアさん» 二人のお話を見届けてくださり、ありがとうございました。コメントもありがとうございます(*´▽｀*) お互いの求めるものや背負った傷の違いが成り立たせる二人の関係を、少しでも描くことができていたら嬉しいです(^-^) (2021年5月10日 12時) (
レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - なかのさん» 最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます！更新は不定期ですが、作品の執筆自体は続けていくつもりですので、また見つけてくださった際は是非よろしくお願いします(*´人｀*) (2021年5月10日 12時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - わたちゃんのピンと張り詰めて今にも切れそうなのと、たいちゃんのところどころ擦り切れてやっぱり切れそうな二人の心の糸が寄り添うことで、切れることなくしなやかに輝きを放っていくかのようなお話で素敵でした。ハッピーエンドで良かったです。 (2021年5月9日 21時) (レス) id: 06f6b1f19d (このIDを非表示/違反報告)
なかの(プロフ) - 凄く素晴らしいお話しでした。毎回更新が楽しみで夢中になって読んでいました。また、お話し楽しみにしています。 (2021年5月9日 13時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - はしもとさん» コメントありがとうございます！今回の設定、気に入って下さってすごく嬉しいです( ；∀；) 他メンの事にも触れていただいて…yさんとわちゃわちゃお仕事してる風景を想像した時に、この二人が似合うかなあと思いました(。-∀-) いつも本当にありがとうございます♪ (2021年2月26日 23時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風華
| 作成日時：2021年2月21日 16時
