【wrwrd!】呼び出し代行 2【zm】 (ページ9)

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夕方の帰り道。いつものようにAちゃんを駅へと送る道を、俺達はゆっくりと歩いていた。

今日のAちゃんは、教科書をなくしたとかでどこか上の空。渡したい物があってずっとそわそわしていた俺は、すっかりタイミングを逃してしまった。

「…すいません、先輩。ぼーっとしちゃってて」

「あ、いや、ええで。気にせんといて」

Aちゃんの様子がいつもとあまりにも違っていて、今日渡さなくてもいいかな、と思い始める。

渡したい物＿＿小さな袋に入ったプレゼント。
既に俺の耳で光っているのとお揃いのそれは、Aちゃんによく似合うだろうと思って買ったリング状のピアスだ。

こんなものを渡すなんて自分らしくないとは思うけど、彼女の耳にピアス穴が開いているのを見て、同じものをつけたいと思ってしまった。

自分でも思っている以上に、Aちゃんのことが大好きなのかもしれない。

とは言っても、こんなに元気がない時に渡すのもどうかとは思う。またAちゃんが元気になってから渡そう。
そう決めて、ちらりとAちゃんを見やった。

長いまつ毛に縁どられた目を伏せるAちゃん。なんとなく手を握ると、その目は大きく開いた後、すっと細められる。

「なんかあったら無理せず言うんやで」

「…ありがとうございます」

少し間を開けて見せた笑顔は、とても綺麗だった。