◆5 ページ5
翌日、教室に着いてから机の近くを探したが、消しゴムは見つからなかった。落し物としても届いてないみたいだし、まわりの席の子達に聞いても、見ていないとのこと。
仕方ないから買いに行こ、とスマホを開いて、リマインダーをセットした。
.
「珍しいね、Aちゃんが物をなくすなんて」
いつも物は大事にしてるのに、と、弁当を食べながらももが言った。
「んー、まあ消しゴムだし、落とすことぐらいあるよ」
「ふーん、そっか…ね、今日買いに行くんでしょ？ゾム先輩と？」
「え、いや、先輩とは特に約束してないけど…」
卵焼きを口に運びながらももの方を向くと、にんまりと笑顔を浮かべていた。もものこういう顔は、何か思いついた時にする顔だ。
「なら、私とデートしよ？消しゴム買うついでに、服とかアクセサリーとか一緒に見ようよ」
「デートって…」
「ふふ、Aちゃんと一緒に服見るの好きなんだよね。顔もスタイルも綺麗だから私じゃ着られない服も似合うし、つい長居しちゃう」
キラキラと目を輝かせるもも。
彼氏がいないのが不思議なぐらい本当に素敵な笑顔だ、かわいい。
「…いいよ、ももにもいっぱい試着してもらうけど」
「やった、ありがとう」
その日私達は、一緒にショッピングモールに行った。
女子高生らしく笑い合いながらたくさん歩いて、いろんな店をまわった。
夏休み中あまり会っていないこともあって話は弾み、会話が尽きることはなかった。恋バナや惚気話なんかもして、疲れてカフェに居座って。
すごく楽しかった。
だけどその後、家に帰ってから私は、ペンが1本消えていることに気付いてしまったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
