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怜生Side
あれから光黄や真咲にうらを取ってもらうと…
案の定、日下部さんは勤めている病院で睡眠薬を処方されていた。
それはただ、日下部さんが不眠症だから処方したと、担当医師も担当看護師も職場の周囲の人も口をそろえてそう言った。
そこで、一つ分かったことが有る。
怜生「日下部さんの周辺の人間が、みんな同じ供述をするということは、彼女は周辺の人間に殺されたわけじゃなさそうだな。」
光黄「浦正くんの調べ情報によると、日下部さんは自分が不眠症である事を、職場の人に隠していた訳じゃないみたいだしね。」
健水「ストレートに考えたら、そういうこっちゃな。」
真咲「日下部さんは家族もいらっしゃらないみたいです。もともと結婚していらっしゃったみたいですけど、もう12年前に離婚されてますし。お子さんにも恵まれなかったみたいですし。」
ここまで来ると、変死の線は消えた。
ただの窒息死の線も消えた。
残るは、他殺。
真咲「そう言えば、彼女は子供には恵まれていませんが、当時4歳ぐらいの近所の男の子を良く可愛がっていたことが分かったのですが、その男の子と家族はある事件に巻き込まれて、すでに死亡しているようです。それがショックで精神的に眠れなくなって、睡眠薬を服用していたみたいです。」
真咲が、急に思い出したように手元のタブレットを見ながらそう言った。
これで、本当に日下部さんに親しい人物がいないことが判明した。
つまり、容疑者は彼女の顔馴染みの人物ではなく、しかも彼女に強い殺意を持っている人間ということになる。
でも、そんな人いるのかよ。
会ったこともない、見たこともない女に憎しみを抱いている人なんて…
健水「容疑者候補は上がってるんか？」
光黄「それは、解剖ついでに、宙が被害者の爪に残ってた犯人かもしれない皮膚片を分析に掛けてくれたよ。」
なんだ、そんな証拠があったのかよ。
でも…
怜生「そんな証拠、いつの間に見つけたんだよ？」
宙「さっき解剖の時に見つけたんだけど、すっごく小さかったから、機械が分析に手こずってるみたい。」
なんだ、そうか。
それじゃあ、犯人は確実に絞られてくる。
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