【TP4】俺達ポンコツ心霊調査員〜PHASMOPHOBIA

因縁 ページ21

.



「な、何よ！Aなんか底辺ウェイトレスじゃない！女優になんかなれる訳ないでしょ？！キヨはAのどこがよくてそんなに固執してるの？！」

キ「お前にAの何が解るんだよ。お前こそ、オレの何がよくてオレに固執すんの？オレこそ底辺の無職野郎なんだけど」

A「あっ…と。他のお客さんに迷惑だから、これ以上は外でお願いできるかな？」


Aは眉を下げて苦笑いをしながらも、目線で店の外に出ろと圧をかけて来た。


「嫌よ、アボカドバーガー食べに来たんだから帰らないわ。持ってきてよ。コーヒーも」


ジェニーはAを一瞥すると冷たく言い放ち、オレに向き直って人差し指でオレの胸のあたりをツ…となぞりながら言った。


「…キヨはこんなにかっこいいじゃない、大人になってますます素敵になったわ。キヨこそ俳優でもモデルでも目指すべきよ。なんなら、パパに頼んでエージェンシーを紹介してもらってもいいのよ？」


オレはその指を振り払うと、


「要するにお前が好きなのはオレの見た目だろ。Aが底辺ならオレも底辺なんだよ。底辺は底辺なりの生き方があるんだ。オレたちはここから這い上がるしかないからな、Aは絶対立派な女優になる。
…高いところから見下ろしてるお前は転落するしかないよなあ、誰かに足を引っ張られないようにせいぜい気をつけな」


昔は言えなかった事を、とうとう言ってやった。真っ赤になって怒りに震えるジェニーに背を向けて、オレはカウンターに座る。

バタン！！

店のドアを思い切り閉めて、ジェニーは出て行った。

オレは、とても清々しい気持ちで一杯だった。

…あとで、言った言葉を後悔する事になるとは知らずに。


A「アボカドバーガー…あれ？ジェニーは？」

キ「あ、オレ食うよ。ジェニーは帰った」

A「またなんか余計な事言ったんじゃないの？恨み買うと街から追い出されちゃうよ…？」

キ「ははっ、恨みなら既に買ってるし、大丈夫だよ。…Aはホント、お人好しだよなあ」


それに、今日も可愛い。ジェニーみたいに厚化粧でもないし、香水も控えめだし、何より楽しそうにダイナーで働く姿にみんな癒しを貰ってる。
女優になる前から既に、Aはこのダイナーのアイドルなんだ。


A「はい、アイスココア。…なに？なんか付いてる？」

キ「いや？ただ、今日も可愛いな、って」

A「はいはい、ありがと。…キヨ、電話鳴ってるよ」

カウンターに置いたスマホが振動している。その画面に表示された名前は、


キ「ガッチマン…」
　

.

キャンプへ行こう！→←望まない再会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す