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#005 ページ5



大きな噴水がある家なんて、そんなにないからすぐに案内することが出来た。ホテルみたいだなー、と見上げていたそこは後々知るが全国規模の田村グループの別荘地だったそう。門の近くまで案内すると『ここで大丈夫』と小さな声で言った。


『そ!良かった!』

『本当にありがとうございます』

『ううん!じゃあねー!』

『あっ...待って』


友だちのところに戻ろうとした私を引き止める。どうしたのかと思ったら、彼はおずおずと指を指す。


『それ......なぁに?』

『......これ?カブトムシ!!私がとったの!』


そういえばずっと持ったまんまだった、とそれを彼の方に見せると、瞳をキラキラと輝かせる。そっと手を伸ばしてきて、指先でカブトムシに触れると『うわぁ』と嬉しそうに声を出す。


『僕、初めて触った...』

『ええ?!ここら辺、いっぱいいるよ?!』

『僕、ここにはたまにしか来ないから......すごいなぁ』

『......じゃあ、あげる!』


なんでか嬉しくって、私はカブトムシをあげた。それを大事そうに受け取って笑ったあの笑顔に、私の心は奪われた。





『......ありがとう、大切にするね』




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作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時

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