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#029 ページ29
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「もし、もしだけど......その人が、昔と変わってたらどうする？」
「変わってたらって、見た目がですか？」
「そうじゃなくて、例えば......昔めちゃくちゃ活発だったけど、今めっちゃ頑張って女らしくいる、とか」
尚大、その例えめちゃくちゃ私の事言ってるでしょ?!?!
心の中でそう突っ込みながらも、考えている様子の海琉くんの沈黙に緊張してきた。だって、尚大が私の事で例えるせいで、なんだか自分のことを言われているような気がしてしまうから。
しばらくの沈黙の後、海琉くんは言葉を選ぶようにしながら慎重に、だけどハッキリとした口調で答えた。
「頑張ってくれてるのは嬉しいですけど......俺は、出来れば変わらないでいてくれた方が嬉しいですかね。その人のこと、そのまま好きになっているんで、無理してほしくないというか...」
「確かに、せっかくならそのまま受け止めてあげたいよね！」
「ですよね......いつまでも、隠せるわけないですからね」
3人の言葉に、胸が痛くなる。私の事を話しているわけじゃないのは分かっているけど、でも、やっぱり尚大が私に例えたせいだって思った。ギュッと強く胸の前で手を握り締めて、泣きたい気持ちを必死に堪えた。
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作者名：時雨
| 作成日時：2022年11月19日 10時
