華になる！《 Kairu.Tamura 》 (ページ26)

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『やっと手に入れた場所なの。簡単には手が届かなかった場所なの。ずっとずっと憧れて......それに、私みたいな平凡な家の生まれがなれただけ奇跡なのに、そう簡単に崩すなんて出来ないよ』

「そんなこと」

『あるんだよ......お金持ちの尚大には、分かんないよ！』

言ってから、しまった、と思った。尚大は眉間に皺を寄せていた。彼は大きく溜息をついてから、ガッと強く手首を掴まれた。『痛い』と言っても、尚大は離してくれない。むしろ、口調が強くなるとともに、手に力がこもった感じがした。

「わっかんねぇよ...お前が、海琉によく見られたいって気持ちが、俺には全然分かんねぇ！そんなの、上辺だけ好きになられて嬉しいのかよ?!お前の良いとこ、全部隠しててなにが良いんだよ！」

『離して、痛いってば...！』

「俺は知ってる！元気が取り柄で底抜けに明るくて、生意気だけど根は優しくて、男勝りなとこが気持ち良いくらいかっこいいんだって」

『なっ...だから！それじゃあダメなんだって』

「じゃあそんな苦しそうな顔すんなよ！見てるこっちが、辛いんだよ......バカ」

最後の方は、弱々しい声になった尚大の目には涙が浮かんでいた。なんで、こんなに必死になってくれるの...？私には、分からなかった。

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