#015 ページ15
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「__________......Aさん、大丈夫ですか?」
『......っ、は、はい!すみません』
「ちょっと休憩しますか?」
心配そうに海琉くんが私の顔を覗き込む。あれから、ついボーっとしてしまうことが増えた気がする。
今まで、海琉くんの隣に並びたくて頑張ってきたのに、叶わない恋だと分かっていたはずなのに......いざ、本人の言葉を聞いたら震えるほど泣いてしまった。だけど時間はあっという間に過ぎていって、ペアでのダンスレッスン初日を迎えた。だけど、まともに集中出来ていない私は先程からミスを連発。見兼ねた海琉くんは休憩を申し出てくれて、しかもわざわざ飲み物を買いに行ってくれた。
__________......ダメダメ、こんなんじゃ...『華』としても失格だ。
せっかく海琉くんの近くに居れるのに、こんなんじゃ迷惑かけてるだけだよ。
溜息をつく私に、誰かがすとん、と隣に座った。顔を向けると、そこにはニコッと可愛らしく微笑む青木先輩がいた。
「お悩みですか?お姫様」
『あ、青木先輩っ...!』
「すっごい緊張してる感じしたからさ!もっとリラックスしなきゃ!」
『すみません...ダンス、慣れていなくて。もっと練習しないとですよね』
俯きながらそう話すと、青木先輩は「俺は好きだけどなぁ」と呟いた。え?と聞き返そうとしたら、青木先輩はニコニコしたまま話を続ける。
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作者名:時雨 | 作成日時:2022年11月19日 10時