ロマンスが降り注ぐ。《 Koki.Kuroda 》 (ページ12)

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#012 ページ12

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黒田くんに貸した少女マンガの新刊が出る日だから、本屋に寄った。読んだらまた貸そうかな、喜ぶかなと店内の中を探していたら、参考書が並ぶ棚の前に同じ制服の生徒を見つけた。

『......あっ、』

「あれ、Aさんだ。やっほー」

『こ、こんにちは』

檜山くんが重そうな参考書を片手に持って、私に気がついて話し掛けてくれた。そっと近寄って見ると、大学受験対策のものだった。ちょっとだけ気になって『大学志望なの？』と聞いてみると、黒田くんみたく優しく答えてくれた。

「そ。俺と黒ちゃんは大学受験予定なの。渉はファッションの専門らしいけど」

『へぇ...すごいね』

「Aさんは？もう進路決めてるの？」

『私はまだ、大学に行こうかな、くらいで』

これと言って、やりたいことはない。だけど、本が好きだからそれに関する仕事ができたらいいな、とは思っている。だから大学に行って視野を広げたいと思って大学進学を目指している。

「そっかぁ。もう3年になったらすぐ進路相談で受験じゃん？俺も漠然とだけど大学行ってやりたいこと見つけたいと思ってるから、とりあえず勉強しないとだよね」

『......檜山くん、頭良いもんね』

ぽそっと呟いたら、檜山くんはなぜかニヤッと笑った。まるで、新しいイタズラを見つけた子どもみたいな、なにか企んでいるような笑顔。

「__________......ねぇ、今度さ...」

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