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Episode : 014 ページ14






「佐久間」





教室に響いた、優しいけど真っ直ぐな声。

教室が一瞬静まり返ったようにも感じた。俺は、その声の方向をゆっくり振り返る。




「あべちゃん!どったのー?」

「元気かなぁって、顔見たくなっちゃった」

「にゃはは!なんだよ、それ〜」



嬉しそうに読んでた本を机にしまって、走っていってしまった佐久間。あーあ、なんにも出来なかったわ、俺...と、思っていると、佐久間の机からなにかが落ちた。

さっき彼が大事そうに読んでいた、本が落ちた。





......なんか、知らんぷりすんのもなぁ...。






そう思って、一応周りを確認してから、立ち上がる。斜め後ろの彼の椅子の下に落ちた本を拾って、そのまま机の上に置こうとして、驚いた。




iw「......おっ...」

sk「......っ、」

iw「さ、さっき落ちたぞ」




さっきまで阿部と話していたはずの佐久間がいたから。彼は、俺が自分の本を持っていることにひどく驚いている様子だった。だから、俺はその本を佐久間に向かって差し出した。もっと言い方はあっただろうに。

押し付けるような形だった本を、両手で受け取った佐久間は、俺の目を見た。






sk「......岩本くん、ありがとう」






写真と同じようなあの笑顔が、今俺に向けられている。

その事実だけで、こんなにも嬉しくなるなんて。




恋って、不思議だ。


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作者名:翠恋 | 作成日時:2021年10月24日 0時

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