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美味しいはずだったお料理の味も思い出せないくらい、
重苦しい雰囲気の中で、食事は終了して
お店を後にすると
タクシーで送ると、田崎さんは言ってくれた。
でも、さっき少しだけ飲んだワインのせいもあって
ごちゃごちゃな頭の中を冷やしたくて
少し歩いて帰ります、と言うと
では、地下鉄の入り口まで送りますと田崎さんは小さく微笑んで
少しずつ春めいてきた夜の外気の中、
何も言葉を交わすこともなく、ふたり黙々と歩き続けた。
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左手の薬指に嵌められたままの指輪が
まるで重大な罪を犯 した罰のように、重くそこに圧しかかる。
本当なら、幸せそうに光り輝くはずのそれも
こんな私の指の上では
どこか鈍い光を纏って、本来の美しさを欠いているように見えた。
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地下鉄の入り口にたどり着いて
田崎さんがスーツの内ポケットから、ひとつの封筒を取り出す。
その想いに応えられるはずなんてないのに
彼のその必死さに、胸が痛んで
やっぱり、と思った私の右手を
ぐっと掴んだ田崎さんは、その手に封筒を握らせた。
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田「…一週間後の、ロンドン行きのチケットです」
「…、」
田「…この時に、…今日の答えを聞かせてください」
「…、でも、私、」
田「一週間、……じっくり、考えていただきたいんです」
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さっきと同じように、強い意思の宿った目で
田崎さんは真っ直ぐに私を見つめて
そっと握らされたチケットに視線を落としたら
私の迷いが、ゆらゆらと揺れているように見えた。
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私は、あなたと一緒には行けませんって
それでも彼が好きなんですって
そう言ってしまえば済む話なのに
こうやって、軽々しく指輪なんて嵌めさせて
即答できるはずの答えを濁らせて
思わせぶりな態度を取っている私は、
きっとまた、田崎さんも傷つけるに決まってるのに…
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「…、今日は、……ご馳走様でした」
田「……」
「…失礼、します」
田「……」
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ワインのアルコールが、効いてきた気がする。
混乱し続ける頭では、もう何を言ったらいいかわからなくて
まるで逃げるように、地下鉄に足を向けようと思ったその瞬間、
ぐらんと目に映る景色が歪んで
気づけば、私は
…あたたかな温もりに、ふんわりと包まれていた。
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ハルキ(プロフ) - ともさん» ともさん、初めまして(*´ω｀)♪この長いお話をはじめから読んでいただいたようで、ありがとうございます。長い上に暗いっていう…、何だかもう救いようがなくてスミマセン。次章からは少し違った展開が期待できると思うので、どうぞ最後までお付き合い下さい。 (2016年7月17日 0時) (
レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - ハルキさん♪はじめまして。ともと申します。イッキに拝見させて頂きました(^o^;)ドラマを観ているようでドキドキはらはら…涙流しながら(>_<)二人の健気さに微笑ましく思ったり時にはイライラしたり…更新を楽しみに待ってます。 (2016年7月14日 8時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - 咲優さん» 咲優さん、いつもありがとうございます(*´ω｀)♪もうみなさんからのコメントもめっきり減るくらい、先の見えない暗〜い展開ですが(笑)、次章では少し光もみえてくる…かな？若いのに、千花ちゃんと裕太くんの方がよっぽどしっかりしてると思っているハルキでした(笑) (2016年7月9日 3時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
咲優(プロフ) - ハルキしゃん♪おひさしぶりーふ(笑)いや、そこ迷うとこチガウ！千花ちゃんはよ連絡してー！って叫んでもうた(笑)このお話ももう移行なのね(*´ω｀*)楽しみに待ってますね♪ (2016年7月8日 8時) (レス) id: 4728198315 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - 咲優さん» 咲優さん、先程アイスのコメントにレスさせていただきました！レスが遅くなり申し訳ないです(>_<) 本当にこちらのふたり、ここからどうやってハッピーエンドになっていくんでしょう…←お前がな 涙チョロリな展開ばかりですが、どうぞ信じて待っていてください！ (2016年6月19日 10時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルキ
| 作成日時：2015年12月13日 0時
