28 お帰りアブノーマル ページ30
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「ん、んん〜…?」
ぎゅっと目を瞑ったまま、謎の息苦しさとくすぐったい感覚に寝返りを打つ。
上半身と後ろに回された手首の圧迫感。
あと、なぜだか手が動かせない。
これってもしかしなくても金縛り……?と恐る恐る瞼を開けると、目の前に血走った目が見えて「アギャー!」とベッドから転げ落ちた。
「チッ起きたか…おいクソ松、お前の縛り方が下手なんだよ」
「ちっ違う!一松がべたべた寝てるAの体触るから…!」
「ア?人のせいかよ、お前も一緒になってチューしようとしてたろ」
私のベッドに座りながら喧嘩を始める二人をぽかんと見つめ、自由の効かない体をこわごわ見下ろす。
いつぞやのクッキーを彷彿とさせるように、私の体をぎゅうぎゅうと拘束する麻縄。
「A、その……似合ってるぜ」
「………」
真っ赤な顔でちらちら私を見てくるカラ松さんに、嬉しくねえ!!と心の中で怒鳴って下唇を噛む。
そうだった、こいつらこういう奴だった。
体調が悪いところを助けてもらったり、大切なもの(パチンコで勝った金)を取り返してもらったり。
最近は優しい二人しか見ていなかったから、私はすっかり忘れていたのだ。
この二人がどうしようもないSM野郎共だということを。
「……とりあえず苦しいんで外してもらえます?」
朝から突っ込む気力もない。
すっかり覚めた頭でそう言うと、カラ松さんに突然顎を掴まれた。
その力強さにビクッとして顔を上げると、少し下げたサングラスからギラギラした目を覗かせて私を見つめるカラ松さん。
「A、俺はそんな顔を見たいんじゃない。もっと恥ずかしがってくれ、もっと困ってくれ!ほら、寝起きにギッチギチに縛られて、男二人に欲に濡れた目で眺められる気分はどうだ?んん?俺に泣きすがって外してくれって頼めよ、そしたらもっとたっぷり可愛がってやるぜぇ?」
「なに言ってんですか。私にそういう趣味は無いって何回言えば…って痛いぃ!?ちょっ、苦しい!苦しいですって一松さん!」
相変わらず長台詞を吐いてくるカラ松さんから顔を背ければ、ミヂィ!とダメな音を立てて私の体を締め付ける麻縄。
私とカラ松さんのやり取りをシラーッと見つめていた一松さんが、元々ギチギチに縛られていた縄を更にぎゅっと締め上げてきた。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです!作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです!待っています! (2020年6月2日 18時) (レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜! (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます!こじらせクズがとても好きなんです〜!楽しんでもらえてとても嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(キリッさん» コメント有難う御座います^^年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです! (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです! (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモ | 作成日時:2015年12月15日 21時