01 ニュートラルなクズ ページ3
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「そう落ち込むなってA〜！友人の勝利をちょっとは喜べよ！」
ジャラジャラと賑やかに玉がぶつかり合う音が鳴り響くなか、隣に座って心底嬉しそうに笑うおそ松が私の背中をバシバシと叩いた。
何かもう辛過ぎて叩き返す気にもなれず、がしがし頭を掻きながら財布を取り出して中身を確認する。
「…見てこれ、３００円」
「おやつ買えるじゃん。良かったな」
「ふざけんな！他人事だと思って！！」
私の財布を覗き込み、至極ケロリとした顔で言いのけた彼の胸倉をぐいっと掴む。
そんな私に顔色一つ変えず、「いーじゃん。俺がお前の分まで勝ってやったんだからさあ」とニンマリ笑う能天気。
もはや怒る気も無くしてふらふらと席を立つ。
「あ、待て待て！俺も出るって！」
財布を乱雑にしまいながら自動ドアを通り抜ける私に、慌てて後ろをついてくるおそ松。
外の空気は薄暗い私の心と裏腹に綺麗に澄んでいて、店に入り浸ってぬるくなった体温を一気に冷やしていく。
そう言えば今日は冷えるって言ってたな。
ふと今朝の天気予報を思い出しつつ、スタジャンを羽織った私の隣、赤いパーカー1枚で意気揚々とスキップする男をちらりと見やる。
そのまま尻ポケットに押し込まれた財布に視線を移せば、いつもの薄いそれとは違ってパンパンに膨れ上がっていた。
「…どんだけ落ち込んでんだよお前。元気出せって」
私の視線に気付いたおそ松が、目尻を下げて苦笑する。
テンションあげてこー！などと肩に腕を回してくる彼を見やり、私は深く溜息を吐いた。
「親に倍にして返すからって金せがもうかな…」
「俺が言うのも何だけど、お前ほんとクズだねぇ」
だっはっはと二人で肩を組んで笑いながら、平日の昼下がりをぶらぶら散歩する。
この自由な時間と、眩しい日差しがたまらない。
まったりした空気を感じながら歩いていると、おそ松が私の顔を覗き込んでニヤリと笑い掛けてきた。
「なあ、ちょーっと一杯飲みたくない？」
「あー…飲みたい。けどお金無いよ」
くいっとグラスを傾ける動作を見せてくる彼に、すっからかんの財布をちらつかせる。
これはもしかしておごりのパティーン？なんて一人期待していると、おそ松は首を縦に振って目を細めた。
「宅飲み！俺の家でさ、どうよ？」
「え、ほんと？良いの？」
気前よく誘ってくれたおそ松の好意に甘え、そのまま家についていくことにした。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです！作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです！待っています！ (2020年6月2日 18時) (
レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます！こじらせクズがとても好きなんです〜！楽しんでもらえてとても嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(ｷﾘｯさん» コメント有難う御座います＾＾年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです！ (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモ | 作成日時：2015年12月15日 21時
