13 ホラーかよ！ ページ15
「な、何ですか！願望持っちゃ駄目ですか！」
私だって素敵な恋愛とかしてみたいし(ニートだけど)、幸せな人生を歩みたい(ニートだけど)。
一松さんは、そんな私を無視してぼーっと遠くを見つめている。
「…別に。結婚費用どうしようかなって」
「ハ？結婚費用？」
「いるでしょ色々……子どもも養っていかなくちゃダメだし」
この人はいったい何を言ってるんだ？
思わずスペースキャット顔をする私に、ニタァとイヤ〜な笑み…。
ここ数ヶ月で鍛え抜かれた変態センサーがピピッと反応し、慌てて距離をとる。
一松さんはそんな私を見つめて、緩くなった縄を解きバットを落とした。
ジリジリ近づく彼に、思わず後ずさる。
「い、いったい何の話を…」
「なにって俺たちの結婚の話でしょ」
「なおさら何の話です！？！？」
そんな会話した覚えありませんけど！と仰天しながら大声を上げる。背中にヒヤリと冷や汗が伝うのが分かった。
「だって今話したし」
「つーかまだ知り合ったばっかですよね！？」
何を考えてるんだこの人、ホラーかよ！
じりじり近寄ってくる彼を避けながら、ぞわりと駆けめぐる悪寒に耐える。
一松さんは「恋愛に時間なんてカンケーないでしょ」と、闇抱えてそうな風貌に全く相応しくない言葉を吐いて、ポケットから紙を引っ張り出した。
「いいからさ、ちょっとココに拇印押してよ」
「いや、それ何…婚姻届ぇ！？！？」
目を凝らして文字を読み、ビクッと怯える私をスマホで激写しながら腕を掴む。
「これクソ松に言い値で売れるな…ほら、押して」
朱肉をぐいぐいと私の親指につけて、無理やり婚姻届に押し付けようと手を引っ張ってくる。
「ちょ、無理やりは駄目だって！そんなんじゃ幸せな家庭は作れな……アアーッ待って！」
「フヒッ、無理やりって結構いいじゃん」
喉が張り裂ける勢いで叫ぶ私に、何故か興奮する様子で荒い息を吐く一松さん。
なんとか逃れようと身をよじる。
「いいじゃん…ゴミクズな俺と結婚しようよ。アンタだってどうせクズだろ」
「一緒にしないでください！」
ギラつく目から顔を背け、必死に手を振り払っていると、
「兄さんたち何してんスか〜？」
いつの間にか戻ってきていた十四松くんが、首を傾げて私たちを見つめた。
「た、助かった！一松さんご乱心で…」
「いま子作り中」
「あー！それは仕方ないね！」
「何が！？！？」
土手下に、悲痛な断末魔が響いた。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです！作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです！待っています！ (2020年6月2日 18時) (
レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます！こじらせクズがとても好きなんです〜！楽しんでもらえてとても嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(ｷﾘｯさん» コメント有難う御座います＾＾年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです！ (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモ | 作成日時：2015年12月15日 21時
