09 グッドタイミング ページ11
「高橋A…Aね。覚えた」
「ああ、名前までもが俺の心を高ぶらせる…！何て罪な女なんだ、お前ってヤツは！」
「…ハハ」
再び興奮するアブノーマルブラザーを前にして、もはや乾いた笑いしか出ない。
どうやって家から追い出そうか考えていると、二人は両隣から私のそばに寄ってくる。
「俺、一松…。気軽にゴミとでも呼んでよ」
「いや、別に聞いてな…」
「ナイスガイな俺はカラ松だ！ダーリンって呼んでもいいんだぜ？」
「…クッソどうでもいい自己紹介ありがとうございます〜」
続ける二人に嫌味ったらしく言ってやると、一松さんは嬉しそうに笑ってマスクを掛け直した。
「ひひ。イヤそうな顔されると逆に燃える」
「……」
聞き慣れた変態チックな言葉を右から左へ受け流し、私は舌根の乾いた口を開く。
「何で私につきまとうんです？」
別に私はサドでもマゾでも何でもないのに。
そう思っておそるおそる聞いてみると、二人はきょとんとした顔をして、それからニヤリと口角を歪めた。
ぴたり、両サイドから体を密着されて、イヤでも体温が伝わってくる。
フッと笑みをこぼしたカラ松さんの吐息が首筋に当たり、私は身をこわばらせた。
「アンタのそういうとこだよ。暴言も暴力も簡単に振るうのに、自分にサドの気があるのがまるで分かってない…」
「なに言ってる一松。コイツは強気な態度が折れてくのがいいんだ。瞳を潤ませて頬を染める姿なんて、最高に男の加虐心をそそる。…ほら、今だって」
ほんと、たまんないよなあ。
獰猛なオオカミみたいに舌なめずりをしながら、ゆっくりとなぞように腰を這う二つの手。
ぼそぼそと直接耳に吹き込まれる低めのテノール。
骨張った手が、容赦なく寝間着の裾から入り込む。
肌にぐっと爪を立てられれば、思わず腰が跳ねた。
慌てて二人の肩を押し返すも、どう頑張ったって男相手じゃ歯が立たない。
混乱する頭で必死に打開策を考えていると、部屋のドアがガチャリと音を立てた。
「……あら。あらあら、まあ！」
菓子とグラスを載せたお盆を手に、目を見開いて口を覆うウチの母。
ポカンと口を開く私たちを見ると、ニマニマだのといやらしい笑顔を浮かべる。
「朝から若いわね〜！でも母さん、二人の男の子とそういうことするのはどうかと思うわ〜」
「お母さん違う！これは違くて！アッ、ちょ、待って！！」
そのまま誤解しながら出て行こうとする母を、必死に止めた。
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スカイ(プロフ) - 本当に好き....!!!めちゃめちゃ面白いです！作者様がまた書きたいと思いましたら、更新して頂けるととても嬉しいです！待っています！ (2020年6月2日 18時) (
レス) id: a0f03080e5 (このIDを非表示/違反報告)
おもちもちもちもんだみん(プロフ) - おもしろい〜！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: bcc917b3e1 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - ナバポさん» コメント有難うございます！こじらせクズがとても好きなんです〜！楽しんでもらえてとても嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモ(プロフ) - 俺の嫁は二次元(ｷﾘｯさん» コメント有難う御座います＾＾年に二度ほどしかない更新ですが楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2017年12月23日 12時) (レス) id: 63c1855969 (このIDを非表示/違反報告)
ナバポ(プロフ) - 二人がクズをこじらせている笑面白かったです！ (2017年6月14日 20時) (レス) id: 03f7a55e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモ | 作成日時：2015年12月15日 21時
