そして現在 ページ13
.
.
「涼太くん、今日何の日か覚えてる?」
「もちろん覚えてるよ、ゴミの日でしょ?後で捨ててくるね」
「え……それ本気で言ってる?」
「うそうそ、ちゃんと覚えてる。付き合い始めた日だよね」
「びっくりしたぁ、そうだよ」
Aからこの問いがくるのは分かっていた。お互いマメな方だから何ヶ月とかも覚えてるし、その度に写真を撮るようにしている。
「今年はね、見てください」
「はい」
「じゃんっ、ケーキ作ってみた!どう?」
「美味しそう。食べていい?」
「夜ご飯食べてからね!」
手作りのホールケーキはかなり手が込んでるもので、こだわってくれたんだなぁと思うと愛おしく思う。何事にも一生懸命だからきっと何回も練習して作ってくれたんだろう。
Aと付き合い始めた頃を思い出すと、あの時は結構大変だった。
公表しない方がいいと思って、かなり気をつけて生活していたけどある日ポロッと言ってしまった。俺が。
「僕は早く結婚したいと思いますね。Aのウェディングドレス姿が見たいので。……あっ」
その瞬間場の空気が凍り付いて冷や汗が出たのを覚えている。咄嗟に「舘さん、Aと同期だからそういう一面も見たいって事だよね!?そういう事だよね!?」と佐久間が押し通そうとしてくれていた。もう隠しきれてなくて終わってからめちゃくちゃ怒られた。
それからウェブで全部書いてこれからはオープンにしていきたいことも書いた。きっと口を滑らすだろうから。これもかなり怒られたけど全部正直な気持ちだった。
この事でAにも飛び火して傷付けてしまった。それは絶対守らないと、Aが病むようなことがあったらダメだと思ってかなり慎重にするようになった。
「Aは気にしなくていいからね。俺が言っちゃったのが悪いから」
そう言ったとき、Aは怒った。
「どうして二人の事なのに涼太くんがそんな風に言うの?Aだって涼太くんのこと守りたいよ」
あの幼い時から比べてかなり大人になったなと実感した出来事だった。
一度明るみに出たことはもう二度と隠せない。思い切ってAとの思い出を話したりする機会を増やしたら自然も受け入れられるようになった。
「涼太くん、今日は何食べたい?」
「んー、俺も一緒に作りたいから考えるわ」
「うん!記念日だから豪華にしたいよね……」
ぶつぶつ言いながら考えている姿がたまらなく愛おしかった。素敵な女性に成長してくれた。
1070人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
p@n@(プロフ) - 美香さん» コメントありがとうございます(^-^)!書き溜めて放出出来るように頑張ります!!お待ち頂けたら嬉しいです〜! (6月4日 22時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
美香(プロフ) - このお話面白かったです!もし時間などありましたら、番外編などで良いので子供が大きくなっての話やメンバーの様子など見てみたいです (6月4日 22時) (レス) @page50 id: 3caaff748d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:p@n@ | 作成日時:2023年5月18日 23時