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なるべく冷静に、冷静に。そんなふうに自分に言い聞かせ、できることと言えば、車が動いてる時間を数えることぐらいだった。
そうはいっても、車はそこまで長く移動はせず、10分程度で停まった。
方向が良ければ、まだ池袋から出ていないはずだ。
布をかぶせられ、視界を奪われたとき。電話をしていたことで右手首が顔のすぐ近くにあった。咄嗟に目に入ったミサンガを噛みちぎって、そこに落としてきた。一郎が見つけてくれたら、気づいてくれるはずだ。
『ミサンガが切れたとき、願いが叶うんだって』
『どうか、いつまでも4人で一緒にいられますように――…』
「……はは」
ああ、また、叶わなかったな。
口から乾いた笑いが漏れる。幸いにも、それは誰にも聞こえなかったようで安心する。
車で手を後ろに回され、縄で縛られる。そして車から降ろされ、視界を奪われたまま歩かされる。腕を引かれながら必死に耳をすませた。
他の車や街の騒音が全く聞こえない。人気が全然ないようだ。私の周りには数人の男が歩いているようで、その話し声が聞こえた。
「へえ、こいつが山田一郎の女かよ」
「最近一緒にいる赤髪のガキとも仲良くしてたぜ」
「ガキのくせに立派に女か」
…女。…女というとあれか、彼女とかそういうやつか。
どうやら男たちは私のことを一郎の"ソウイウ"関係の相手だと思っているらしい。
乱暴にかぶせられていた布を取られる。そのままその場に座らされた。頬を掴まれ上を向かされる。2人の男が私を見下ろしていた。
「…あ？こいつ左右の目の色違うじゃねえか」
「片方は山田一郎と一緒だな…。…？確かアイツの弟どもも色の違う目じゃなかったか…」
「ハッ、こいつ山田一郎の女じゃなくて姉貴かよ！」
気づかれた。まあ、この容姿を見ればそんな結論には時間をかけずとも気づける。しかしやはり、私が一郎の姉だということは知らなかったみたいだった。
私たちの会話までは聞こえなかったのか、私の容姿は目に入らなかったのか。
どちらにせよ、一郎たちと一緒にいたところを攫われたし、私が一郎の弱みとして連れてこられたのは間違いないだろう。
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りんご - 滅茶苦茶面白いです...！今更ながら、更新待っています！ (3月30日 11時) (
レス) @page19 id: 76f76e1010 (このIDを非表示/違反報告)
ぱい - 面白すぎ！話にスルッと入れる神作品！更新待ってます！ (2022年6月23日 20時) (レス) @page19 id: 0c35d3b667 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 朔(プロフ) - 悠希さん» ありがとうございます！い一気読みお疲れ様です…！いやぁ、お兄ちゃんしてる一郎くんを公式で見てると、つい甘やかしたい欲が働いて可愛くなっちゃうんですよね…()これからも頑張ります！！ (2021年8月14日 9時) (レス) id: 9e4a60ca3b (このIDを非表示/違反報告)
悠希(プロフ) - 今日この作品見つけて一気読みしましたw一郎くんめちゃ可愛いです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2021年8月13日 22時) (レス) id: 84d16d7788 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 朔 - Reiさん» ありがとうございます！Rei様には何度もコメントをいただき、私もう超感激です…！これからも頑張ります、ありがとうございます！(非ログ垢から失礼いたします) (2021年8月12日 20時) (レス) id: 40534f6bdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月宮 朔 | 作成日時：2021年8月12日 17時
