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57話 ページ22

「銀時、晋助、食欲はあるか?」
僕が聞けば咳をこぼしながら言う。
「「ある!」」
僕の隣で食器を持っている小太郎が「病人は静かにしろ」と言った。
そう、銀時と晋助は風邪を引いて寝込んでいる。おおかた昨日のせいだろう。すぐに風呂に入れたが風邪を引いてしまったらしい。朝起きた時の様子が可笑しかったため、熱を測れば案の定の結果であった。しかし小太郎は元気よく看病の手伝いをしてくれている。体が強いのはいいことだと小太郎の頭を撫でた。
病人の2人は、本当に病人かと疑いたくなるような様子で元気に粥を食っている。食欲があるのはいいことである。生姜も入れたし体にいい粥だろう、存分に食ってほしい。
「食い終わったら薬飲めよ。あとこれも作ったから飲むといい」
僕は蜂蜜檸檬を置く。
「は、蜂蜜檸檬だと…!」
「俺達が咳しているのを気遣って…!」
「「スパダリめ!」」
大きな声を出すから咳がでる。ゲホゲホと鳴らす2人に、小太郎も呆れ顔である。
「具合どうですか?」
「…大丈夫そうだ。直ぐに治る」
いつの間にか背後に立っており、後ろからのぞき込んできた松陽に動揺を悟られないよう微笑って答える。まだ、慣れないのだ。
こういう場面になると医学の知識をつけようかと考える。薬草などの知識はある方だが、それだけでは賄えない。僕はいったい何になろうとしているのだろうか。
「さて、僕は食器を片付けて来ようかな」
そう立ち上がろうとした時だ。床についていた手を掴まれる。こんな場所でこんな時に何やっているんだこいつは。と思いながら剥がそうとするが一向に離れない。
「あとで相手してやるから」
そう言っても首を横に振るだけ。
「だめですよ」
「…何が?」
「気づいてあげられなくてごめんなさいね」
「…?何言って…?」
「気づいてないなんて、どんだけ自己犠牲激しいんですか」
「…気づく?」
「Aも風邪引いているでしょう?安静にしなきゃ、ね」
「…風邪?僕が?」
「いつもより体が温かいというか熱いし、感覚鈍ってるでしょう?いつもは気づく私の気配にも気づかなかったし、応答が少しだけ遅れているんですよ。まったく…きつかったら直ぐに言わきゃだめですよ」
何を言っているんだこいつと思うが体は正直なよう。後ろの松陽に体を預けるように倒れた。僕の体調よりも銀時達が優先だな、そう深層心理で考えていたのかもしれない。
松陽は僕よりも僕に詳しいな、そう思いながら意識を手放した。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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