50話 ページ15
事実は小説より奇なりとはよく言うもので、夢だと思えどそれは変わらない。いくら頭を捻っても変わらない現実はいつも僕を悩ませる。「何故こうなった」ため息をついても変わらない。僕は4人に囲まれ頭を撫でられながら、事の発端を追憶した。
いつもと変わらず朝食の匂いとともに松陽に起こされる。揺さぶられ目を薄っすらと開けると朝日が眩しい。鳥が煩く鳴いている、番でも探しているのか。
松陽は僕の頭を撫で優しく笑う、ことが毎日の恒例だったのだが今日はそれがなかった。僕の横に座ったままで硬直している。その様子にどこか体調でも悪いのかと思ったが、直ぐに立ち上がりどこかへ走り去ってしまった。次に聞こえたのは4人分の足音で、スパーンと大きく音を立てた襖は全開である。駆けて来た銀時達もこちらを見て固まる。そんなに可笑しな寝癖をしているのか僕は。
やっと松陽が言葉を発したかと思うと意味のわからないことを言う。
「頭、どうしたんですかそれ…」
そこまで言うほどの寝癖なのか。耳が生えているような寝癖になっているのかもしれないなハハハ、なんて内で笑っていた僕は自身の頭に触れる。温かい動くものがある。本当に耳みたいな寝癖だな。髪を手で梳こうとすると感覚が走る。
「…は?」
鳥の声が煩く感じたのは聴覚が発達したからなわけで、どうやら僕は猫になったらしい。耳だけではなく尻尾もあった。
文字通り猫可愛がりをする4人にため息をつく。
「ご機嫌斜めですか?可愛いですね」
「朝から災難だからな」
「気質がもう猫だからな、そのままでいいんじゃね?」
「よくねェよ」
「肉球はないのか…」
「あってたまるか」
「猫にヤクルコってやっていいのか?」
「駄目だろ…って僕は猫じゃない」
もう原因なんてどうでもいいようで頭や首を撫でられる。猫扱いするなと尻尾で叩くがやつらは楽しそうだ。まぁこの状況から逃げない僕も僕だが。必死に自動でゴロゴロと鳴る喉を締めている。聞かれたら何を言われるか。好いていることが露骨ではないか、そんなの気恥ずかし過ぎる。
この摩訶不思議な獣の耳はいつ消えるのであろうか。このまま消えなかったらどうしよう。チラリと僕を腕に抱く松陽を見て息を呑んだ。もし、このままであったらコイツの愛玩動物となる可能性がある。それは避けたい。
解決策を1人で考えていると、不意に尻尾から背中へゾワゾワとした感覚が走った。
「み"!?」
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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時