優しい悪魔と不老不死【おそ松さん】 (ページ3)

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0.2　理由ページ3

××××

『着いたよ』
　
｢わざわざありがとう｣

『別に…それじゃあこれで』

｢え､あ､ちょっと待って!｣

突然人間に手を握られ止められる

悪魔にはない暖かい温度が伝わって
妙な違和感を覚えた

これ以上一緒にいるとまずいんだけど

『まだ何かあんの?』

｢その…お礼がしたくて｣

本当に正気なのかなコイツ…

それとも悪魔に恩を売って
後で利用しようって魂胆か?

『そんなことで恩を売ろうなんて…』

｢ち､違くて…!ただ純粋にお礼がしたいんだ｣

『はぁ…お礼ねぇ』

｢それに…｣

人間…チョロ松が何か
言いづらそうにしながら話を続ける

｢寂しいから…｣

『寂しい?』

｢うん｡だから少し話したいなって｣

訳がわからない

そんな理由で一緒にいたいとか
もっと相手を選んだ方が良いと思う

別にコイツの為じゃない

ただちょっと…寂しがってる人間の顔を
拝んでやろうと思っただけだ

『はぁ…まぁいいよ』

｢ほんと?｣

『うん』

｢ありがとう｣

またあの顔で優しい顔で笑う
よく…そんなに笑えるな…悪魔の前で

さっきからなぜか胸の辺りが暖かい
それに少しだけ痛かった

まさか…いや

悪魔だからあるわけないし
悪魔だからあっても許されないし

｢どうしたの?｣

『…!いや､なにも…』

正気じゃないのは私の方かもな…
らしくもなく取り乱してしまった

少し気まずくなった空気を
振り払うようにチョロ松に
疑問を投げ掛ける

『ねぇ…』

｢何?｣

『さっき寂しいって言ってたじゃん…何で?』

そう問うとチョロ松の笑顔が
ちょっとだけ悲しげな表情になった

何かまずいこと聞いちゃったかな…私

｢ごめんね?変な理由だよね｣

『いや…別に変じゃないけど』

｢…ありがと｣

『何でお礼?』

｢だって寂しいって理由を笑わないでくれたし…｣

頑張って表情を作ろうとしてるけど
私の前では無意味だ

『嘘でしょ…道に迷ったなんて』

｢え!?｣

『ファウストの奴があの程度で道に迷うわけがない』

｢う…｣

図星か…

例外もいるけどファウストの族は
秀才や頭の切れる奴が多い

まぁでもそれは″私たち″の手によって
できたものだけどな

｢ごめんね｣

『え､いや…怒ってる訳じゃないし』

｢でもね本当に寂しくて君に話かけたんだ｣

別にそこは疑ってないし…
言い方まずかったか?

ていうか何焦ってんだ
仮にも悪魔だぞ…!

｢馬鹿みたいだけどさ…｣

｢本当に｣

｢そんな理由で話かけたんだ｣

あ～あ…胸…いったいな…