十五話.悩み ページ17
辰眞「あの時のわしゃ単純じゃった。」
辰眞さんは私の顔ではなく空を見つめ、昔を思い返しているかのように目を細めた。
辰眞「あんたに是非、想いを伝えよう思うて、それから毎日、北條家の前であんたを待っとった。懐かしいのう。」
それを聞き、はっとする。
そうか。昨日の夜、姉が
『木崎さんを知っとるん？』
径子「知っとるもなにも。アンタが國民学校に行っとった時、うちゃ良く挨拶してもろうたよ。」
径子「�猖黙蠅里�姉さん。こんにちは。�畍世Δ討犬磧８�そうじゃった」
と言っていたのは、この事だったのか。
辰眞「ほいでも、２、３回行ったが、お姉さんにしか会えんくて。」
辰眞「そのうち神様が、�爐�前みたいなんはAさんの様な方とは釣り合わん�瓩いΔ堂颪錣擦討�れんのじゃと思うて。諦めたんよ。」
辰眞「小學校を出てからは、なぜか色恋沙汰には興味のうなったんじゃ。」
辰眞「じゃけど二十になって…親に、はよ嫁を取れ 言われてのう。思い返してみりゃ、わしゃ一生であんたのことしか好きになったことが無いけえ」
『ほいで、私に決めさったんね…』
辰眞「思えば小學校を出てからずっと恋に興味無うなったんは、あんたのこと、心の片隅ではずっと想ってたんかもしれんのう。」
辰眞さんは私の目を見る。
そして微笑んだ。
辰眞「わしにとっちゃ、Aさんはずっと憧れの人じゃったんよ。」
『辰眞さん…』
ゆっくり、彼が向かいに座る私の方へ歩み寄る。
そして辰眞さんの右手が、私に伸び、
それが私の左手に重なった。
舟はぐらりと揺れる。
そして今度は、左手を私の頬へ滑らせる。
私の顎へ手を添え、地震の親指で私の唇をなぞった。
私に
そう思って、嫌ではないはずなのに。
それなのに私の手は、彼の手を払い退けてしまった。
嫌じゃない。どこかこのまま唇を合わせて、彼に溶けてしまいたいという欲も、私にはあった。
でも、本当にそれでいいのか。
彼は、これで幸せなのか。
そう思ってしまったのである。
彼は接吻を拒否されたからだろうか。
驚くような表情をしたものの、どこか自虐的に笑った。
そして重ねた右手を私の左手から離し、また私の対極に座る。
辰眞「…すまん。」
『…違う…それと違う。うちはあんたが嫌なんじゃないんよ。辰眞さん。』
辰眞「じゃあ…どうして…」
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なー(プロフ) - 初めて読ませていただきました。心温まるお話、続きが気になります！ (12月14日 16時) (
レス) @page27 id: 5a5cf333fe (このIDを非表示/違反報告)
さとみ - はじめまして。楽しみに読ませてもらってます。完結したお話しでも再開するのでしょうか？またお話し読めるのを楽しみにしてます。 (2022年9月30日 14時) (レス) id: 1dc70ba9d0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 最近すごく『この世界の片隅に』にハマっていたんですよ、、ストーリーもキャラクター同士の関係も最高です…更新楽しみにしていますね (2020年7月12日 23時) (レス) id: bc0dbb2048 (このIDを非表示/違反報告)
もえこ(プロフ) - お話が動き始めて本当に嬉しいです！ありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: 8b605c37d7 (このIDを非表示/違反報告)
Reika(プロフ) - おかえりなさい^ ^作者さんのペースで更新頑張ってください！読みに行きますね。 (2020年3月15日 23時) (レス) id: 616ea4ec17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏 | 作成日時：2018年7月22日 11時
