僕の家、この辺なんだ ページ43
『うん。雨宿りしてから帰ろうかなって』
「この雨だと当分は止まないだろう」
『やっぱり、か』
Aは外を見てため息をつく
「そういえば今日は佐原たちと…」
『あぁ、もう解散したよ』
「一緒に帰らなかったのか?」
『んー……ちょっとね』
Aが躊躇っているのは赤司にも愛生たちにも言える内容ではないからだ
「ここから家までだいぶ遠いだ…」
『大丈夫。走って帰ればすぐだと思うし。
じゃあね、また明日』
雨の中Aは走り去ってしまった
まさかあそこで赤司と会うとは思わずぎこちない対応をしてしまったと後悔するA
別に喧嘩したわけではない
怒ってもないし多分怒られてもない
ただ"避けられた"と思い込んでしまった
『…なんでこんな悩まんといけな…
なんで、いるん…?』
走り疲れて歩いていたAの頭上から雨を感じなくなったことに気づいた
後ろを向くと先ほど分かれた赤司がいた
「傘持っていないのに走っていくからだ
風邪でも引いたらどうする」
ふうっと少し息を漏らす赤司
『赤司も風邪引くよ。私はいいから、ほら入りな』
Aは自分の方にさされていた傘を赤司に戻す
「…」
『じゃあね。ありが…』
「僕の家、この辺なんだ」
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作者名:蛍 | 作成日時:2019年10月18日 20時