星降る夜に1 ページ1
冬の大三角形、シリウスととプロキオン、
ベテルギウス。
その下に私はいる。
暗闇が支配する丘の上、星が街頭代わりに
なってくれている。
丘から見渡せる私の住む街の灯りが
ぽつぽつと消えていく。
兄さんからもらった天体望遠鏡を
セットする。
星空に向かって傾く望遠鏡の傍に寝転がった。
目に映る満天の星空。
ただ輝いているだけの星たち。
瞼を閉じると、黒色の中に微かな光が灯るようだった。
冬の刺すように冷たい乾いた風が、丘を、
街を吹き抜けていく。
今も、この瞬間も、地球は廻っている_____
「ねぇ、君何してるの」
突然上から声がした。
慌てて目を開ける。
私の目が映したのは、先程と寸分違わぬ
星空と闇。
「そんなところで寝ていたのかい?」
闇から、また声が聴こえる。
いや、違う。
闇の中に、人が一人、溶け込んでいる。
声の高さからして、青年だろうか。
「ほら、起きて」
手が差しのべられる。
血の気の無い真っ白な手も、段々闇に
溶けていく。何故だかそれに触れては、
いけない気がして、自分で身体を起こした。
青年の姿が間近になる。
彼は不思議な格好をしていた。
頭、首、手首には包帯が巻かれていて、
頬にも止血帯の様なものが貼られている。
傷だらけの身体とは裏腹に、いかにも
高そうな黒外套と
整った顔は、何処か悲しげに顰められていた。
「え、私の顔に何か付いてる?」
いつの間にかじっと見詰めていたらしい。
顔に一気に熱が集まる。
そうだ、何か喋らなくちゃ___と思い、
回らない頭を必死に回転させる。
しかし、口から出てきたのは、
「貴方は、中二病なの?」
青年が目を丸くする。
それから身体のあちこちに貼られた包帯を
見て、納得したように頷くと笑いだした。
「な、何が可笑しいの」
「いや…やっと君が喋ったと思ったら、
『貴方は中二病なの?』って云うとは
思わなくて、ね」
目尻に溜まった涙を拭いて、また笑いだした。
うん、一つ理解したことがある。
私は莫迦だ。
初対面の人に「中二病なの?」なんて失礼にも程がある。
「ご、ごめんなさい、悪気は無かったの。
ただ、何を話せば良いのか分からなく
なって、それで…」
「いや、いいんだ。気にしてない。」
彼がにっこり笑った。
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暁月 - すごく心があたたかくなりました!面白いです。ドラえもんの方もお待ちしております! (2020年11月25日 22時) (
レス) id: e687c517ef (このIDを非表示/違反報告)
明月(プロフ) - くれーぷさん» ありがとうございます！この作品で少しでも誰かが明るい気持ちになってくれたら嬉しいです。更新頑張ります！ (2017年8月9日 17時) (レス) id: 0166858713 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ(プロフ) - なんだか読んでから心が軽くなったような気がします。ほっこりする素敵な作品をありがとうございます！私もこんな作品書けるように頑張ろ。更新楽しみにしてますね♪よし、星見に行こう← (2017年8月9日 12時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
明月(プロフ) - RAIさん» ありがとうございます！柔らかい文章かは分かりませんが、できるだけ感情?とか心の声みたいなものを書くように心がけています。あとは五感をいれるとか…。分かりにくくてすみません。すごく嬉しいです。更新頑張ります！ (2017年8月5日 22時) (レス) id: 0166858713 (このIDを非表示/違反報告)
RAI(プロフ) - 柔らかい文章の書き方がとても好みです……！私もそんな風に掛けるようになりたい(切実)。次の更新も、楽しみにしています。 (2017年8月5日 20時) (レス) id: d6a1ef8da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：明月 | 作成日時：2017年8月5日 15時
