1つの灯りが芽吹く時。【番外編】

いたいのいたいの(甲斐一家) ページ29

これは、颯希と愛優、そして隼人が起こした出来事の一部始終だ。

家を駆け回っていた愛優と颯希。

私の注意も聞かない。

そのうち颯希が転びらビターンと床に倒れた。

「………あ」

私の注意を聞かなかった2人がいけない。

そうは思うけど心配にもなる。

案の定、颯希は号泣。

愛優はどうすればいいのかわからないようで、オロオロしていた。

その時、私の向かいで座っていた隼人が「ふぅ」と言いながら立ち上がって、颯希の元に向かった。

「颯希。いたいのいたいの、とんでけ〜」

「ブッｯｯｯ」

隼人がそんな事をするとは。

飲んでいたお茶を吹き出してしまった。

「ほら、もう泣くなよ。男だろ〜？」

暫く颯希を抱っこしてあやしていた隼人は、颯希が泣き止んだのを確認すると、息を吐く。

「愛優、颯希。ママがさっき「危ないよ」って言ってたよな」

「っ………うん」

「なんで、それ聞けなかったの？だから転んだんだよ。もう痛い思いしたくないだろ？」

「……ごめん、なさい」

「……めん…さい」

隼人は頷いて、愛優と颯希の頭を撫でた。

「よし。2人とも謝れたし、カルピスでも飲むか」

原液から作るのは私の仕事らしい。

家族でカルピスタイムにしよう。

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