Spica【菅田将暉】 (ページ44)

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「あ、おはよ」

俺より先に起きていたらしい翠は、キッチンで朝ご飯を作っていた。

「勝手に使っちゃった…ごめんね」

「…………いや」

長い髪の毛を1つに纏めて、テキパキと料理を作る。

翠の手作り料理は何回も食べてきたし、前に貰ったマカロンも美味しかった。

ただ、この状況は……。

「どうしたの？」

俺は翠を後ろから優しく抱きしめる。

「うわっ………包丁危ないよ？」

「……ごめん。なんか……同棲してるみたいやな、って」

「っ………」

翠がゆっくりと包丁を置き、クルリと回転をする。

向かい合い、翠もゆっくりと両手を背中に回した。

「まさ…………大将君、おはよ」

イタズラめいた笑顔で言う翠。

急に本名で呼ばれるとは思っておらず、不意打ちで酷く照れた。

「おはよ、翠」

「んふふ、あとちょっとで出来るよ」