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「翠、ごめん…」
話したい事は沢山あるハズなのに、本人を目の前にするとなにから話せばいいのかわからなくなる。
「俺……あの日、翠の事」
「やだ」
「……え？」
「やだ、どうせ皆…私を責めるんだ…。
1度の失敗で逃げた弱虫だって、芸能界で威張り散らしてただけの小心者だってっ…！！」
「翠、それはちゃうよ」
「違わないよっ…！将暉君だってそうなんでしょ？！」
一瞬、言葉が詰まった。
「っ……ちゃうよ！！」
「だって言ってたじゃんっ…！！
どうせ私は、同期なだけで居ても居なくても変わんないんだっ…！！
私が死んじゃったって、同じように仕事やるんでしょ？！」
嗚呼、翠はちゃんと見てるんだ。
自分が死んだかのように報じるニュースを、当時から今まで、何度も何度も見てきたんだ。
「やらんよ！同じように仕事出来るわけないやんけ！！
翠が居なくなって、俺ホンマに辛かったねんで？！
翠は大丈夫かって、今何処で何してんねやろってっ！」
「お見舞い来なかったくせにっ…」
即座に答える事が出来なかった。
確かにそうだ。
俺は、お見舞いに行かなかった。
仕事が忙しかった。
人気女優が怪我しようが何しようが、俺の仕事が少し減ったくらいで芸能活動はいつも通りに進んでいく。
仕事が忙しかった。それは本当だ。
だけど、頑張ればお見舞いの時間だって取れたはずだ。
なのに、俺はそれをしなかった。
あの日に翠を助けられなかった罪悪感や恐怖で、顔を出す事が怖かったからだ。
「将暉君なんてっ…嫌いだ！！
皆嫌いだ！私も、世界も！
全部全部嫌いだよっ…！！！
事故で本当に死んじゃえば良かったんだっ！！！！」
気がついたら、翠の頬を叩いていた。
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作者名：hoshina
作成日時：2019年10月7日 19時
