1つの灯りが芽吹く時。

15話 ページ15

「性別は、まだわかりません」

「でも、もう完全に人だよなぁ」

同じく14週目。

私達はエコー写真を広げて色々な話をしていた。

その時だ。

病室がノックされ、同時に扉が開く。

「っ！！」

私は慌ててそのエコー写真を鞄に仕舞おうとしたけれど、入ってきた人物に見られてしまった。

「やっほー、ぶっきー。
あっ、朱莉も居たの？
…………て……それ、何？」

その人物が唯月だったから困るのだ。

「え……っと…その………」

「朱莉……妊娠、したの？」

それは隠せない。

お腹も大きくなってきたし、エコー写真を見られたなら隠しようがない。

「あ………うん」

「誰？！誰との子？！」

「…………」

私はゆっくりと先生を見る。

先生は小さく息をついてから口を開いた。

「………俺だ」

「は？！え………だって………え？！」

「ゆ…唯月、落ち着いて…」

「落ち着けないって！！」

「………それも、そうか」

「マジか……え〜……」

「あ、あの……唯月。
誰にも……言わないで欲しいの」

これには先生も目を見開いて私を見ていた。

「……いいけど、なんで？」

「………私と、先生がこういう関係だったなんて皆に知られたら…先生が責められちゃう。
それが、社会一般的な常識でしょ？
………嫌なの、先生が…責められるの……。
これは、合意の上だし…」

唯月は暫く考えていたようだけど、頷いた。

「わかった。誰にも言わない」

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