星の雨２

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望が持ってたドラストの袋、落としたんや。


「看病してくれる人おるなら、
俺、いらんよな。
今すぐに帰るからっ、気にせんといて」


望の声、震えてる。


晶馬の話する時の望は、
何故か、不機嫌いうか、いじけた感じやったっけ。


俺の目が他を向くのは嫌なんやろ？

自分は流星を好きなくせに。


そういうとこも含めて、
望はスターなんやなって思う。

俺とは違う。


やっと、晶馬が、俺から離れてくれた。


「小瀧さんですよね。
いつもテレビ拝見してます。
初めまして」


「あ・・・りがとうございます」


「僕は鈴木晶馬って言います。
崇ちゃんのお見舞い、ありがとうございます」


俺の代わりにお礼言うなんて、
恋人やて誤解されても仕方ない。


「望、疲れてんのに、ありがとうな。
ツアー前の大事な時期に倒れてごめん。
迷惑かけてしもて」


「ええよ、そんなん。
大丈夫やから。
流星のマネの斉藤さんに良くしてもらってる」


「そうか。
斉藤さんならベテランやしな」


このまま、流星とコンビでの仕事が増えたら、
俺、望のマネージャー外されるかもしれへん。


いっそ、その方がええかな・・・

未練もなくなるやろ。


「じゃあ、帰るから」


「うん、望、気をつけてな。
ここまで斉藤さんに送って来てもろたんか？」


「うん。そう。
下で待ってもらってるから。
全然平気やから。
じゃあ、お大事に！」


望、やけにムキになって言うて、部屋を出てった。


こういう時の望は、大抵、嘘をついてる。


迎えの車なんか、ないんかもしれん。


雨降ってるし、心配や。


慌ててソファから這い出して、
追いかけようとしたけど、

体が言うこときいてくれへん。


「崇ちゃん！まだ起きたらダメだよ！」


「けど望が、心配やねん」


「なんで？
大人だよ？
過保護過ぎない？」


「ごめん、晶馬。
望のこと、ほっとかれへん」


望、傷付いた顔してたやろ？

違う？


全身の力振り絞って、晶馬のことを振り切って外に出た。


廊下から見下ろすと、
やっぱり、迎えの車なんかないみたいで。


３月とはいえ、
まだ夜は冷え込む中、

望が寒そうに首をすくめて立ってるのが見えた。

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