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ともあれ、別にこいつは嫌な奴じゃない。ちょっと眩しすぎて直視できないだけ。

ただ、"才能"という言葉が浮かぶたびにそいつのことがちょっぴり嫌になる。

上を目指しても越えられない壁は存在して。どれだけ描き続けようと、どれだけ練習してもそれはぶち壊せない。

だけど"天才"はそれをぶち壊せる力がある。

それが嫌い。それと同等に扱われ、「運がなかった」だの「練習不足」だの、軽々しい言葉で片付けられてしまうのが嫌。

だから夕とは距離を離したかったのに、小中9年間同じクラス。挙句高校でも同じクラスと来た。工作しているとしか思えない。

しかし、高校は小中学校とは違い、昼休みはご飯を食べる時間は自由。場所だってどこでもいい。例えば食堂とか屋上、部室など。

まだ入学して1週間。しかし何となくグループが分かれていくような傾向が見られる。
今日もいつものメンツで食べようと鞄から弁当を取り出す。


「A!ご飯食べよーぜ!」

しかし、突如目の前にあの、キラキラした黒い瞳が現れた。
それも声が大きいものだからクラス中の目線が集まる。

『ちょ、何?突然…』

人差し指を口に当てて声を抑えるように催促する。

「食べよう!!ご飯を!!!」

『分かった!分かったから静かにして、!!』

急いで立ち上がり彼の手をひいて教室を出る。

『…あのねぇ、小学生のときならともかく高校では仲良いじゃ済まないの。それは夕も分かるでしょ?』

「なんでAと食べるのはダメなんだ?」

『それは……。』

純粋な眼で首を傾げられるとこちらが変に反応しているのが間違っているような気持ちになる。そうだった。こいつが敏感なのはバレーだけであって、他は皆無。人の目とか気にしたことの無い陽キャであったのを忘れてきた。

『……分かった。いいよ。でも教室では食べないからね。』

瞬間、やっほーい!と飛び跳ねた夕にまた注目が浴び、頭を抱えたのはまた別の話。

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(プロフ) - ♡ (2022年12月25日 20時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星宮 その | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月24日 12時

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