コイバナ【短編集】

あいまい ページ30

『Aのことが大好き。愛してる』



真夜中。好感度の話をしていた矢先にそんなラインが来た。


彼は私の“憧れの人”だった。



クラスのムードメーカーで、明るくて、眩しい。


とてもゲームがうまくて、長距離系を構えて遠くの敵を減らしてくれる彼がいつも頼もしくて。

どんなに練習しても勝てない彼にずっと憧れていたし、


少なからず好きだなって思っていた時期があった。


でも当時彼には彼女がいて、私なんかに振り向くわけがない。

そんな卑屈な考えから諦めていた、はずだったのに。



1年と少し経って、気づけば彼は彼女と別れていて。

2、3ヶ月前に通話しよう、って誘ってもらえたことだってとても嬉しくて。

軽い気持ちだったのかはわからないけど

「好き」って言ってくれて。



それが伏線だったのかな、なんて。


『冗談なら早くやめてね？』


震える手で変身すると


『冗談なんかじゃないよ、大好き』


甘い言葉で、徐々に、溶かされて。

自分が誰かも分からなくなるような浮遊感に浮かされて。


あぁ、そうだ。嘘だってわかってたんだ。




翌日起きて連絡すれば、ちょっと申し訳なさそうな彼がいて。

あぁ、やっぱり夢だったんだなって

いやでもそう思わされてしまって。



彼は

『卒業したら会いに行く。その時告白させてほしい』

と私に約束したけれど。


きっとこれも嘘で、忘れているに違いない。

私をこんなにも落としてくれたのに。


この気持ちをどこにやったらいいものかと私は今日も悩んでいる。





歪んだ愛






ーー実録ーー

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