コイバナ【短編集】

えんきょり ページ25

君に、会える


そう思うといても立ってもいられなくなってしまうのが私達、いや私の遠距離恋愛


彼は私の近所のお兄さんで２つ上。

つい最近大学に受かったことを機に一人暮らしを始めた、始めてしまった


窓を開けたらいつも見えた彼の背中が見えなくなったことに私はとてもショックを覚えた


文化祭、大学まで行ける少ない機会。

見つかる、かなぁ……



そんな不安を抱きつつ学校に向かう



ーー

大きく飛翔祭と書かれた看板と鮮やかに飾られた学校。


大学生らしい雰囲気に包まれていて、私は早々に引き返したくなった


と、そんな時。


彼が自分のクラスと思われる看板を持って宣伝しているのを見つけた



(いた。)


少し鼓動が早くなる

見つけた、見つかったという嬉しさがこみ上げる



けれど見るだけで満足してしまってダメだ。帰ろう

今度は私もこの学校に、なんてたいそれたことを考えながら後ろを向く



駅についても足は重たい


帰りたいけど帰りたくない、なんてなんとも矛盾めいた考え。


足が止まる。



足音が近づく。



「Aっ！まってっ！」



呼ばれた私はゆるりと振り向く。

髪がなびく。



目の前には、彼がいた



「来てくれたんだねっ……はぁっ…よかった追いつけて。…っ…」


「なんで、、？」


それしか言えない。驚きで言葉も出ない


「せっかく来てくれたのに帰っちゃうから、、ほら、いっしょに回るんでしょ？」


そんな、いつの約束かもわからない約束を信じていた彼は私の手を引いて大学に戻った


「ここが俺のクラス、こっちは俺のサークル」


色々紹介してくれて、とても楽しかった。


『好きだよ』


なんて言葉は言えなかったけど、すごく満足できた



「じゃあ、私はこれで帰るね。今日はありがとう」


「あ、う、うん。。またね。いつでも遊びにおいで。」


歯切れが悪い。どうしたんだろ


「それとね、その、、えっと、、」


はてなを浮かべて待つ



「その、、好きだよ、A」


「ずっと前から、今日だってすごく嬉しかった。


だから、もしよければなんだけど……」



「私も、好きっ。」


思わず嬉しくて抱きつく


嬉しい。伝わった。やった


「わっ。俺も、大好き。」


えへへ。


「にやけちゃうな、、A、俺と付き合ってください」


「もちろんだよ。海里くん！」


「これからも、よろしくな」

「こちらこそ」



2人で歩く世界は、夜なのにとても眩しく感じた

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