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え。えっ、ゑ??
交際履歴は冒頭でも申し上げた通りたった一人の浮気をしたクズな彼氏だ。人生に置いてまず、男性との接点すらなかった私にとってこの手を重ねると言うだけの単純な行為にドキッと胸が高鳴る。ドキドキ、ドキドキ。コレは収まる所か加速していくばかりなのですが、大丈夫なんでしょうか……っ。
「少し、深呼吸してみようか。ゆっくりでいいから」
「ぅ、はい、」
そうまさんが合図する呼吸に合わせて、同じように手を握ったまま深呼吸をする。言われた通りに繰り返せば次第にトクン、トクンと高鳴りはあるものの通常の速度に戻っていた。
「あの、もう。大丈夫です、ありがとうございます」
「うん」
「あ、あのっ、」
「ははっ、ごめん。……本当に可愛いからさ。君と話せるのは五分だけだし、もう少し近づきたいなって、思っちゃって。この距離、嫌い?」
「き、嫌いでは、ないですけどっ、」
なにっ。なになになに。ホストってこんなに距離詰めてこないと喋れないの!? この距離じゃないと死んじゃうの!? こっちが死んじゃうんだけど……!!!?
このままだと心臓が先に倒れてしまいそう。もう思考がいっぱいいっぱいになってしまった時、そうまさんは優しく笑いながら私の頭を撫でた。
「ごめんね。ちょっと、ふふ。からかっただけ。……本当にかわいいな」
「ぅ、」
「またドキドキしてる? また手、握ってあげようか」
「だっ、大丈夫ですっ!」
両手を広げてブンブンと横に振る。もう一回だなんてされた日にはもうこの息の根を止められてしまう。比喩とかではなく、本当に。私の心臓舐めるなよ。弱いんだからな???
きゅっと目を細めて睨んでみるもののあまりこのイケメンには効果がないようだ。寧ろ『かわいい』と言う破壊力しかない言葉で更に私を苦しめてくる。
ううぅ、これがナンバーワンの力なのか、そうなのか……。
「でも本当に、あっという間だな。……もうそろそろ時間みたい」
「あ、え。そうなんですか……?」
体感一分程度しか経っていない気分だったため分からなかったが、もう時計の針は四つも時を進めていた。楽しい時間はあっという間というが、本当にそうなのだろう。なんだか物足りないと思ってしまう。
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作者名:Stellar | 作成日時:2022年10月23日 12時