【声優】私が恋した文系声優【堀江瞬】

きゅーぺーじ ページ10

タクシーでの移動は静寂に包まれていた。


…今思えば、隣にホリエル…堀江さんがいるってすごいことだよね…


堀江さんのファンに殺られないかな？！


こんな根暗でマヌケで馬鹿な私がこのお方の隣に……ただただ申し訳ない…


｢Aちゃん？百面相なんてしてどうしたの？｣


心配そうに顔を覗き込まれる…


目が合うと自分の顔が熱くなるのがわかる。


『ひぇ？！…あ、えっと、……なんでもないですよ〜』


ヒラヒラと手をふる。
すると堀江さんが私のおでこと自分のおでこをくっつけはじめた。


｢熱はないみたいだね｣


『え…』


おでこを離した後、間抜けな声が出てしまい顔がさっきに増して熱くなる。


｢え？あ…あ……ごめん！定番恋愛シーンみたいになっちゃった｣


顔を真っ赤にして私から距離をとる。


バックミラーを見ると私の顔も赤い。


『ふふ…』


何故だか笑がこみあげた。
なんだかカップルみたいだ…


なんて思ったけど口にはださなかった。
言った後の堀江さんが何故か可哀想に思えてきたから。


『あ、あそこですよね？新しく出来たデパート。』



｢うん！そ、そこだよ！｣


目を逸らして言うものだから、無理矢理にでも合わせたくなった。
目を合わせるのはそう困難ではない。


名前を呼べば彼は振り向いてくれる。


『堀江さん』


｢は、はい！、｣


まだ微かに赤くなっている頬。


堀江さんが一緒に喜んでくれたこと。
引越しの手伝いをしてくれたこと。
隣で寝ていたこと。
可愛いって言ってくれたこと。
デートに誘ってくれたこと。
心配してくれたこと。
一緒にいてくれたこと。
いつの間にかタメ口で話してくれること
色んな堀江さんを、見せてくれたこと


今まで過ごした中での思い出は9つ程度
だけど全て私の幸せに繋がっている…



なんて臭いことを思っていたら、
またもや心配される


｢大丈夫？具合悪いとか？｣


『ううん。大丈夫です、行きましょ』

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