# ページ41
あの時受けた依頼は、とある暴力団の事務所を潰して欲しいというものだった。一般人であった依頼主から与えられた情報は非常に少なく、当時の彼等にとってはそれなりに難しい案件だった。
そんな時に口コミで腕の良い情報屋がいると聞いた深澤は、その情報屋に連絡をとった。それが阿部だった。
何度かメールでやり取りを繰り返した後、実際に情報を受け取る日を迎えた。
初めて会うという事もあって、深澤は念の為に宮舘を連れて行った。何故宮舘だったかは忘れた。忘れたくらいだからじゃんけんとか、要するに適当だったのだろう。
fk「なあ……あんたが情報屋……?」
sk「……」
阿部から聞いていた話を元に、深澤が路地裏で恐る恐る声をかけた相手、それが佐久間だった。
黒いパーカーとスウェット、黒いマスクに黒いグローブ、スニーカーまで黒に染めた佐久間は返事の代わりに薄い封筒をちらつかせた。
深澤が警戒したのも無理はない。良く見れば彼の服には至る所に血液が染み付いていた。
ただの情報屋ではない。深澤の隣にいる宮舘もそれを察知して警戒を強めていた。
fk「……金は持ってきた。それ、渡してくれる?」
深澤の言葉で宮舘が懐から厚い封筒を出す。数歩歩いてそれを地面に置き、元の場所に戻った。
佐久間はそれを確認すると金の隣に情報を置き、代わりに金を取ってパーカーの前ポケットにしまった。今度は深澤が数歩前に出て封筒を拾おうとする。
その時。
sk「……ねえ、」
dt「……何」
ロボットのような機械的な声をかけられ、二人は緊張の糸を張りつめた。
sk「二人とも……強そうだね」
楽しそうな声と共にマスクの上に浮かぶ目が細められる。その目には純粋な狂気が満ちていた。
深澤が思わず懐に忍ばせたナイフを確認すると、佐久間は興奮で声を上げて笑った。
sk「ねえ……お前ら殺したら強くなれるよね?」
二人の答えを聞く気が無い佐久間は、素早くナイフを構えると深澤めがけて飛びかかった。
深澤は封筒を拾うのを諦めて佐久間の攻撃をすんでのところで躱す。すかさず宮舘が佐久間に蹴りを食らわせようとするも、いとも簡単に彼に避けられた。
fk「やめろよ……俺達はお前と争う気は無い」
sk「っはは! じゃあこうすればいい?」
dt「っ……お前」
佐久間は隙を見て素早く薄い封筒を拾い上げると、ズボンのポケットに雑にしまいこんだ。
これで深澤達は佐久間と戦う理由が出来た。金を取られたのに手ぶらで帰る訳にはいかないから。
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長谷川遥香(プロフ) - 完結したけど続きでリクエストバージョンも見たいです！ (2022年1月3日 21時) (
レス) id: 3679b26edd (このIDを非表示/違反報告)
雷(プロフ) - ものすごくおもしろくて、一気読みもしたのに誤って低評価を押してしまいました…！本当は心からの高評価です、おもしろかったです！嫌な気持ちにさせてしまったらすみません…！ (2020年10月14日 22時) (レス) id: 02bdc07e91 (このIDを非表示/違反報告)
kjars8888888(プロフ) - やっぱアジさんの裏稼業が最高だな！！ (2020年9月21日 23時) (レス) id: 55f2f63f60 (このIDを非表示/違反報告)
mgrwtnb(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2020年9月17日 20時) (レス) id: 1e6ed00ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白く、更新を毎日楽しみにしていました。これからも応援してます！ (2020年9月15日 22時) (レス) id: afba355943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年8月29日 15時
