Resentment: 1 ページ1
彼は硬いベッドの上で目を覚ました。
体を横にしたまま時計に目を向ける。眠ろうとしてから二時間程度しか経っていなかった。
＿＿普段よりはましか。
ゆっくりと立ち上がった彼は、テーブルに投げてあった写真と厚い封筒を見下ろした。
写真に写るのは、店の裏口らしきところから出てくる一人の男。写真の裏には小さく「Snow」と殴り書きがあった。店名だろうか。
封筒の中に入っているのは、前金にしてはそこそこの札束。
＿＿嫌な事思い出した。
駅前のコインロッカーから写真と金を回収した帰り、たむろして騒ぐ連中の前を通り過ぎた。
人目も憚らず大音量で見ていたのはドラマか何かだったのか、女のふざけた台詞が聞こえてきて吐き気がした。
《……なんて、そんなの間違ってる》
＿＿偽善。綺麗事。それで正義のつもりかよ。
彼は深く息を吐き出すと、仕事用では無いリボルバーに一発だけ弾を込めて弾倉を勢いよく回した。これが日課になったのは何時からだったか。
回転が止まるのを待つ間、部屋の中で唯一綺麗に飾られている写真に目を向ける。
身を削って、他人を苦しめて、いくつもの命を奪って、それでも必死に生きる。
全ては、自分から大切なものを奪った人間を地獄に突き落とすため。
そのためにはどれだけ自分が傷つこうが、どれだけ赤の他人が死のうがどうだっていい。
その理屈が世間的には、倫理的には間違っている事などとっくに知っている。
しかし彼が間違っているかを判断するのは世間でも、倫理でも、神なんてものでもない。
弾倉が回転をやめた時、彼は銃口を口に咥えて躊躇いなく引き金を引いた。
かち、と審判の下る音がする。
再び写真に目をやって、ほんの少しだけ口角を上げた。
＿＿俺は間違ってない。そうだよね。
ならば、彼は今日も、内に秘めた黒い炎を燃やし続ける。
彼は今日も、生きるために命を奪いに行く。
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怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» ありがとうございます! そうですめめです! ゆっくりですがこれからもお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年7月16日 21時) (
レス) id: 03141f9b41 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 移行おめでとうございます！次の加入組はめめですかね？今後の展開も楽しみにしています！ (2020年7月13日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年7月12日 15時
