【宮侑】後輩に恋路を邪魔される【北信介】

episode8 ページ9

保健体育、漢文、数学


3年の最終日はこの3科目で、やはり1番難しかったのは数学だった。









私は文系脳だ。理系科目は基本的に苦手で、テスト前は人一倍頑張らなければ危うく赤点を取ってしまいそうになる。





それでも私が理系コースに進んだのは、北くんが理系だから。








稲荷崎高校において文理選択は2年の半ばにあり、それに基づいて3年のクラス編成が行われる。つまり、理系に進まなければ北くんと同じクラスにはなれなかった。



きついと思う時もあるけれど、北くんと毎日顔を合わせることが出来るのは嬉しい。















けれど、それも今年で終わり。




私は大学は文系に進もうと思っている。さすがに大学で苦手な理系を専攻するのは厳しいと思ったが故の決断。




どんなに足掻いても北くんと一緒に居られるのは今年が最後。
















傍に居られることは嬉しい。


でも、それ以上でもそれ以下でもない。























北くんに告白することは、彼が1番大切にしている部活や勉強の邪魔になるのではないか。


私もこんな時期に浮かれている暇はあるのか。



















「今日まで双子の勉強見てくれてほんまに助かったわ」



『私なんて大して役に立ってないよ、北くんこそお疲れ様』









おおきに、と笑う北くんはそのまま部室へ向かって行く。









テスト期間中毎日のように一緒に過ごした放課後。毎日傍にいた。それが今日からはまたいつも通りの放課後に。






離れていく背中が名残惜しい、でも仕方の無いこと。彼はインハイ直前で、強豪の主将で、やらなければならない事が沢山あるんだ。





そうゆう時期なんだよ。


































私は、


















北くんのこと好きでいても良いのかな。











迷惑かけるし、



自分にとってもデメリット大きいんじゃないかな。



















初めて、そんな考えが頭を過った。









くだらない。



















5〜6歩進んだところで、北くんは止まって振り返って言った。



今は少しだけしか離れていないこの距離も、これからどんどん広がっていくのだろう。











受験生の恋というのは、難しくて、切ない。
















「侑がインハイ出ても出なくても、応援来てな」



















こうしてまた、離れるのが辛くなる。

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