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撮影後、ふかとひいと翔太に囲まれる。傍から見たら、ヤンキーに絡まれているみたいな構図。


「なになに、ちょっとこわいんだけど。」

「おい、田村。」

「だから、こわい……ひいもそんな目で見ないで。」

「だって、思い出さなくていいことだったのに。」


拗ねるように唇を尖らせながらぼそぼそと話すひかる。それだけわたしを大事に思ってくれていると思うと、胸がいっぱいになる。


「みんなだって一緒でしょ。ふかはグループがなくなっちゃったり、なべとひいは仲良しだった人達が辞めちゃったり。それと、一緒。ただ、終わり方が悪かっただけ。」

「でも……」

「おふたりさん、これ以上言うならおこるよ。」

「……はい、すみませんでした。」



なべとひかるがみんなの元へ戻ると、ふかは椅子に座る私に目線を合わせるようにしゃがんだ。


「A?」

「なあに、たっちゃん。」

「あのさ、」

「なんでそんなに泣きそうなの?もう。言わなくてもわかるから。私、Snow Manでいられて、幸せだよ。」



私がいたグループがデビューできなかった理由は、2つ。

1人のメンバーが病気を患い、活動を辞退したこと。
1人のメンバーと同事務所の男性アイドルの熱愛発覚。



デビューが白紙になって、希望がなくなった。

残った同期は、ここにいる価値が見い出せないと退所して、

たった1人、現状から1歩も進めずに立ち尽くしたままの私。



そんな時に、誰よりも早く手を差し伸べてくれたのは、

ふかだった。当時は今よりも尖っていたけど、

優しさはずっと昔から、持ち合わせていたんだと思う。



「ん、それならよかった。」

「……だから、たっちゃんと同じように、私にもこの場所を守らせてね。」

「なあに、格好付けて。当たり前じゃん。」

「んふ、別にい?たっちゃんこそ格好付けてたじゃん。」

「なんか言った?これがいつもの俺ですけど。」

「はいはい、さすがですねえ。」

「……おま、思ってねーだろ!」


私が過去の話をすると、必ずと言っていいほど不安な表情をする彼。きっと、自分が私に声を掛けなかった世界線があったとして、別の未来を生きていたらもっと幸せだったかもしれない、と自分を責めているんだと思う。


ねえ、ふか。その度に、ちゃんと私から伝えさせてね。

たとえ今よりも幸せな未来があったとしても、私は同じ道を選んで、Snow Manとして生きるよ。

このメンバーと生きているという事実には、何よりも価値があるんだから。

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作者名:は む | 作成日時:2023年3月5日 3時

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