青＿Soraci ページ10
21回目の夏が来た。
「あ、」
「え、」
蘇る、あの夏のことが。
透けるような肌の白さだけよく覚えている。
「…久しぶり、だね」
「そう、だな」
今、俺の前にいる彼女は、まるで幻なんじゃないかって思うくらい現実味がなくて。
首元を伝う汗は生ぬるくて、心臓が騒がしい。
一瞬時が止まったかのように、
いや、あの夏の日に戻ったかのような感覚に襲われて、俺はその場から動けないままでいた。
「元気だった?」
「うん、まあ」
ぎこちなく笑う、真っ白な彼女。
何年か越しに聞く彼女の声が、胸に刺さる。
「……」
「……」
「あのさ、」
乾いた喉がゴクリと音を立てる。
「俺実は、」
「そらっ」
君の声が俺の言葉を遮る。
彼女が何を言おとしているのか、そんな事分かりきっていた。
(でも、最後まで言わせてよ…)
「ダメだよ…戻れなくなっちゃうから…」
「でも俺は…」
出かけた言葉は喉に詰まって、上手く声が出ない。
「私、そろそろ行くね」
切なげな彼女の髪が、風になびいて、
消えてしまいそうな気がしたから、手を伸ばした。
「そっか、じゃあ」
掴みかけたそれは、弾けて、夏の空に溶けた。
俺に背を向けた君の背中を見て、泣き出しそうな自分がダサくて、
「くっそぉ…」
(戻りてぇな、あの夏に)
あの夏は弾けても、きっと消えることはない。
君と過ごしたあの夏に戻れたなら、俺は君に…
『俺は、ずっと君のことが好きだった』
P.S.
スクールアウトサイダーの影響をガッツリ受けてますね(笑)
劇場で見てきましたが、夏にピッタリの爽やかな作品でした。
YouTubeでの公開が楽しみですね。
(リクエストの方は、しばらくお待ちくださいな)
エキセントリック＿Naitou◎ﾘｸｴｽﾄ→←白昼夢＿Naitou◎ﾘｸｴｽﾄ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
榮愛 - リクエストいいですか？水溜りボンドの二人書いてもらえますか？ (2018年3月28日 8時) (
レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - すみれさん» 了解です！お好みのシュチュエーションなどはございますか？ (2018年1月28日 17時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - おるたなの渋ジャパ下さいぃぃぃぃい(土下座) (2018年1月28日 17時) (レス) id: b2ee1e5041 (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - リクエストを書いてくださりありがとうございます！大丈夫です、バッチリキュン死しましたから(￣▽￣)またリクさせてくださいm(_ _)m (2017年12月19日 15時) (レス) id: eb6c37d723 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - ぴちこさん» リクエストありがとうございます！大変申し訳ないのですが、説明欄に書いてある方のみのリクエストをお受けしております。せっかくリクエスト頂いたのに、お答え出来ず大変申し訳ないです… (2017年12月17日 23時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬名 郁 | 作成日時：2017年8月10日 5時
