薔薇の木の下で_Motoki ページ26
「なんだか最近眠れないの」
君は少し考えてから、
「それは君の右手に持っているブラックコーヒーのせいじゃないかな?」
あまりにも的のいた答えを返してきたものだから、私はなんだか表皮抜けしてしまって、
「そうかも」
と、笑った。
なぜ眠れないのか、自分で考えてみたけれど、答えが出てこなかったので、彼に話してみることにした。
賢い彼のことだから、きっと何かヒントをくれる、そんな期待を込めて。
「なにか悩み事でも?」
「うーん、それが私にもわからないのよ」
「そっか」
彼は、また少し考えてから、私にこう言った。
「恋煩いとか?」
「え?」
こう言っては彼に失礼かもしれないけど、彼の口からいわゆる恋愛の話が出るとは思っていなかった私は、ビックリしてしまって暫く声が出せなかった。
「こ、恋煩い?」
「うん、恋する乙女は夜も眠れないって言うじゃん?」
そんな話一度も聞いたことはないが、
"恋煩い"
その聞きなれない言葉は、何故か私の中にストンと落ちた。
本当に、不思議なくらい。
何故かは私にはまだ分からないけれど。
「Aは、恋、してるの?」
「……」
「俺は、してるよ」
「えっ?」
今度は、さっきの"え?"よりもずいぶん大きな声が出てしまったみたい。
今日の彼は、まるで彼じゃないみたいだ。
開いた口が塞ぎきらない私に、彼は続ける。
「この流れで言うのは情けないって分かってるけど、今しかないと思うから言わせて欲しい」
「…モトキくん?」
今までに見た事のない、真っ直ぐな彼の瞳に、私は彼の名前を呼ぶことしか出来ない。
彼はすっと息を吸って、それからこう言った。
「俺は今、君に恋をしている」
私にはまだ"恋"というものがわからない。
だけど、彼の言葉が本当なら、彼のことをもっと知りたいと思った。
彼ともっと、共に時間を過ごしたいと思った。
彼のことをもっと、考えていたいと思った。
前に母から聞いたことがある。
"誰かのことを本気で思えることは幸せだ"と。
この幸せが、"恋"と呼べるなら、教えてくれたのは君だよ。
「君の気持ちを教えて欲しい」
この後彼の告白になんと答えたかは、薔薇の木の下で。
P.S.
「薔薇の木の下で」という言葉には意味があるのですが、あえてここには書きません。
気になる方は調べてみてくださいな!←
二日酔い_AVNTIS◎リクエスト→←悪魔の笑顔の悪巧み_Turime◎リクエスト※
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榮愛 - リクエストいいですか?水溜りボンドの二人書いてもらえますか? (2018年3月28日 8時) (レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - すみれさん» 了解です!お好みのシュチュエーションなどはございますか? (2018年1月28日 17時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - おるたなの渋ジャパ下さいぃぃぃぃい(土下座) (2018年1月28日 17時) (レス) id: b2ee1e5041 (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - リクエストを書いてくださりありがとうございます!大丈夫です、バッチリキュン死しましたから( ̄▽ ̄)またリクさせてくださいm(_ _)m (2017年12月19日 15時) (レス) id: eb6c37d723 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - ぴちこさん» リクエストありがとうございます!大変申し訳ないのですが、説明欄に書いてある方のみのリクエストをお受けしております。せっかくリクエスト頂いたのに、お答え出来ず大変申し訳ないです… (2017年12月17日 23時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年8月10日 5時