検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:50,788 hit

薔薇の木の下で_Motoki ページ26

「なんだか最近眠れないの」

君は少し考えてから、

「それは君の右手に持っているブラックコーヒーのせいじゃないかな?」

あまりにも的のいた答えを返してきたものだから、私はなんだか表皮抜けしてしまって、

「そうかも」

と、笑った。

なぜ眠れないのか、自分で考えてみたけれど、答えが出てこなかったので、彼に話してみることにした。
賢い彼のことだから、きっと何かヒントをくれる、そんな期待を込めて。

「なにか悩み事でも?」
「うーん、それが私にもわからないのよ」
「そっか」

彼は、また少し考えてから、私にこう言った。

「恋煩いとか?」

「え?」

こう言っては彼に失礼かもしれないけど、彼の口からいわゆる恋愛の話が出るとは思っていなかった私は、ビックリしてしまって暫く声が出せなかった。

「こ、恋煩い?」
「うん、恋する乙女は夜も眠れないって言うじゃん?」

そんな話一度も聞いたことはないが、
"恋煩い"
その聞きなれない言葉は、何故か私の中にストンと落ちた。
本当に、不思議なくらい。

何故かは私にはまだ分からないけれど。

「Aは、恋、してるの?」
「……」

「俺は、してるよ」

「えっ?」

今度は、さっきの"え?"よりもずいぶん大きな声が出てしまったみたい。
今日の彼は、まるで彼じゃないみたいだ。
開いた口が塞ぎきらない私に、彼は続ける。

「この流れで言うのは情けないって分かってるけど、今しかないと思うから言わせて欲しい」
「…モトキくん?」

今までに見た事のない、真っ直ぐな彼の瞳に、私は彼の名前を呼ぶことしか出来ない。
彼はすっと息を吸って、それからこう言った。


「俺は今、君に恋をしている」


私にはまだ"恋"というものがわからない。
だけど、彼の言葉が本当なら、彼のことをもっと知りたいと思った。
彼ともっと、共に時間を過ごしたいと思った。
彼のことをもっと、考えていたいと思った。

前に母から聞いたことがある。
"誰かのことを本気で思えることは幸せだ"と。

この幸せが、"恋"と呼べるなら、教えてくれたのは君だよ。


「君の気持ちを教えて欲しい」

この後彼の告白になんと答えたかは、薔薇の木の下で。


P.S.
「薔薇の木の下で」という言葉には意味があるのですが、あえてここには書きません。
気になる方は調べてみてくださいな!←

二日酔い_AVNTIS◎リクエスト→←悪魔の笑顔の悪巧み_Turime◎リクエスト※



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
214人がお気に入り
設定タグ:Youtuber , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

榮愛 - リクエストいいですか?水溜りボンドの二人書いてもらえますか? (2018年3月28日 8時) (レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - すみれさん» 了解です!お好みのシュチュエーションなどはございますか? (2018年1月28日 17時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - おるたなの渋ジャパ下さいぃぃぃぃい(土下座) (2018年1月28日 17時) (レス) id: b2ee1e5041 (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - リクエストを書いてくださりありがとうございます!大丈夫です、バッチリキュン死しましたから( ̄▽ ̄)またリクさせてくださいm(_ _)m (2017年12月19日 15時) (レス) id: eb6c37d723 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - ぴちこさん» リクエストありがとうございます!大変申し訳ないのですが、説明欄に書いてある方のみのリクエストをお受けしております。せっかくリクエスト頂いたのに、お答え出来ず大変申し訳ないです… (2017年12月17日 23時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年8月10日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。