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とある夏の日《そらちぃ》マオさんリク ページ34

「あっついねぇ…」

机にへばりついていた体を起こし、下敷きでパタパタと仰ぐ。
全開の窓から吹き込む生ぬるい風が、体を包み、体内の水分と、”やる気”を奪い取っていく。

「こんなあちぃのにクーラー壊れてるとか、ありえねぇ」

(夏休みなのに補習とかありえない)

彼の零す愚痴に頷きながら、この暑さの一番の原因であろう太陽を睨みつける。
今日も今日とて、まあ元気なこと。

「せんせーは?」

「シーラネ」

隣で同様の課題に励む幼馴染のそらは、気だるそうに答えた。

雲ひとつない空に、威勢の良い掛け声が響く。
ふと下を見れば、砂埃にまみれた野球部員達の姿。

「こんな暑い中部活とか、うちの野球部は鬼畜だね。」

「まあ、そこそこ強いからな」

私の机に軽く腰掛け、校庭を見下ろす彼の首筋には汗が伝っていた。
その雫が、照りつける太陽に反射して、
キラキラ光っていた。


(眩し…)

キラキラ、キラキラ、その姿に目が眩む。


(まずい、熱中症かも…)


「あ!」

いきなり大きな声を出すものだから、私は仰いでいた赤い下敷きを落とした。

「なに、急に大きな声出さないでよ…」

私はそれを拾いつつ、そらを睨んだ。

「先輩…」


だけど彼はそんなこと御構い無しで、窓の手すりに身を乗り出してそう呟いた。

「センパーーーイ」

想定に向かって大き手を振るから、気になって下を見てみると、
白い肌がよく目立つ、彼の言う”センパイ”らしき女の人が、こちらに手を振っていた。

「今日も可愛いよなぁ…」

まるで夢から醒めたかのような、虚るろな目で”センパイ”を見るそら。
もう見慣れたこの顔にも、私の胸は酷く痛む。

「俺さ、」

彼が口を開く。
私は机の上の教科書に視線を落とす。


「夏休み、センパイに告白しようと思う」


彼の口から出た言葉はあまりにも衝撃的で、私は顔を上げられない。
大好きなはずの彼の声が、今は煩わしくさえ思えた。

「そんで、OKもらったら、一緒にお祭りとか行きたいなぁ…」


「もし、俺が振られたら、A一緒に言ってくれる?」


汗が伝う彼の頰は日焼けのせいか、少し赤い。




「そんなん、行くわけないじゃん…」


「…そっか」




そんな残念そうな顔しないでよ。
別に期待なんかしてないから。









どうか彼の恋が上手くいきますように。
届くことのない私の思いが、空に跳ねた、


とある夏の日。

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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時

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