雷門に来たシードは豪炎寺の義弟でした２【イナGO】 (ページ10)

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５７話　決勝に向けてページ10

目を覚ますとAは見知らぬ部屋のベッドの上にいた。
(ここは…？見たことない天井だ…。日の感じからして今は夕方か。えっと確か俺は新雲と…)
「気がついたか。」
横からの声に反応すると、そこには椅子に座った霧野がいた。
「霧野先輩。」
(…お人好しだな。この人は、一度騙した相手だっていうのに。!？いや!それよりも聞くことがあった!)
「先輩！試合は！？」
「ん、あぁ勝ったよ。あの後追加点を入れて３－２で雷門の勝ちだ。」
「そうですか……良かった。」
「先輩としては試合の心配より自分の体調を心配して欲しいんだかな。」
困ったように話す霧野。それを見て少し不安がよぎる。
「えっ…。もしかして俺、何かの病気とかですか？」
「ただの疲労だそうだ。明後日には退院できるってさ。」
霧野の言葉にAは思わず胸を撫で下ろす。
「良かった…試合には十分間に合いますね。」
「俺は反対だけどな。」

「え……。」
「当たり前だろ。正直お前の力は攻守において今の雷門に必要不可欠だよ…。でもそんな役回りの多い状況だからこそお前は無茶をしすぎてるんじゃないか？」
「いや…でも!」
「お前は才能があるんだ。今無理をして未来を棄てるようなことはして欲しくない。」
「!?」
(……本当にお人好しな先輩だよ…。だけど弱ったな…。)
「先輩!俺どうしても決勝は出たいんです!たとえそれがどんな形になっても！……駄目……ですか……？」

「A////…。その顔はずるいぞ。……はぁ…。わかった、だけど無理はするなよ。苦しかったらいつでも俺を頼れ。」
そう言い、自分を指す霧野。その仕草に何故か口角が緩む。
「先輩女顔の癖に頼りになりますね。」
「女顔はお前もだろ。……今日はゆっくり休めよ。」

その後、他愛のない話をして10分程経ち霧野は病室から去った。

「雷門に入って良かったな……。」
静かな病室で一人、Aはそう呟いていた。

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次回に続きます。