ほくとくらぶ。 (ページ10)

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きゅうページ10

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咲「遅れてごめーん！」

自分から時刻を設定したくせに、遅れてくる咲にはもう慣れた。

なれるって言うのもおかしいかな、なんて思いながら咲の側に行く。

『どこなの？そのすのカフェってとこ』

咲「あ、大学の超近くだよ。」

咲がそう言って、電車に乗り込んだ。

大学まではこの駅からあと二駅。

二駅くらい歩いてもいいけれど、疲れるのはちょっと遠慮。

つり革を掴んで、スマホを開ける。

咲も同じような体制になった。

「次は～」

駅員さんの声がして、一駅目に付いた。

あ、あと一駅か。と呑気に考えていると、後ろからすごい足音が聞こえた。

『？』

咲も疑問に思ったようで、二人同時に振り返る。

きっと、電車に急いで乗車したであろう肩で息をする彼。

顔を上げたら、これはなかなかのイケメンだ。

…なんか見覚えある。

咲「じゅ、樹くんっ？」

咲がちょっと驚いたような高い声を出した。樹くん？

樹「お、咲ちゃん。前の美人さんも一緒だね」

こんにちは、と煌びやかな笑顔を向けられて会釈をした。

樹くん、と呼ばれる男性はあのホストクラブの人。

樹「で、美人さん。北斗とはどこまで行ったの？あ、松村」

いきなり聞かれて、私は少し驚いた。

北斗…松村さんのことだ。

『いや、別にどこも何も……手は繋いだけど、』

樹「えっ、じゃあやってないの！？本当だったんだ」

『や、やるって…？』

私が尋ねると、咲がパシッと軽く樹くんの背中を叩いた。

咲「ちょっと樹くん！Aは清純なの！！」

樹「そーだった。あーごめん、忘れて忘れて」

額を抑えてそう言う樹くんに首を傾げる。

すると、すの駅に付いた。

「すの駅～すの駅～」

アナウンスが入って、ドアが開く。私と咲が出ると、樹くんも出た。

『あれ、降りるとこ一緒だったんだ』

樹「本当だね。俺は今から北斗とすのカフェでランチなんだ」

『えっ！？』

あまりの偶然さに、口元を手で抑えた。

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