さんじゅうさん ページ36
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「す、…すきじゃないっすきじゃない!」
慌てて首を振る。
北斗くんは、そう。とだけ言って肩をすくめると、花壇に目を落とした。
どうしてそんなこと聞いたの?なんて言えるはずもなく。
私はただこの空気をよくしたくて、必死に話題を考えている。
「…あ、そういえば、いいお天気だね〜…」
北斗「そうだね。」
ねえ、言葉に詰まれば天気の話って言ったの誰?
めっちゃ失敗したんだけど。
その後もたわいない話をふりかけるも、北斗くんは一言サラリと返していつも黙りこくる。
こんなんじゃ、仲良くなれじゃないか。
私はごくりと息を飲むと、勢いよく問いかけた。
「北斗くんは好きな子いる!!?」
最終手段としてとっておいた恋話を持ちかける私に、北斗くんは驚いたように目を見開く。
そんな驚く?私が恋愛に興味ないとでも思ったか。
かっこいいのに、恋人いないとかラッキーすぎるわけであって。
その理由はホストだからであって。
だから、私はホストの彼女にはなれない、という結論に至ってしまうんだなぁ。
もう好きだと気づいたからには遅すぎる問題なのだが。
でも好きだから、仕方ないよね。とか。
呆れてため息をついてしまいそうになる。
ま、北斗くんには恋人もいないわけだ、十分狙える機会は………
でも北斗くんの答えは、想像していたのと真逆であった。
北斗「…うん」
一瞬時が止まったように思えた。
北斗くんは顔を赤らめながら、私の瞳を見つめている。
かちゃかちゃとコーヒーカップの回収に回っている渡辺くんが見える。
ガヤガヤ騒ぐ女子高生の姿も見える。
私だけ、置いてけぼり。
私だけ、時に追いつけないような、そんな感じ。
「そ…っか、」
言葉に詰まってようやく出たのはたったそれだけの言葉だった。
ショックすぎて、他に何も言えない。
頑張ってね、とか
北斗くんならいける、とか
そんな言葉、出なかった。
好きな人を応援したい、とか
そんな感情一切出なかった私は、多分結構な薄情者だと思う。
ただ悔しいというか、羨ましいような
北斗くんに好かれる女の子になりたいな、って。
ちょっと泣きたくなったから、上を見上げてみたけど変わらないから「ごめんお手洗い」って嘘ついた。
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つくも(プロフ) - ぽむりんこむさん» ほっくーん?何で知ってるのー?w誰目線だよw (2019年11月16日 22時) (レス) id: 133d970256 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむりんこむ - つくもさん» だーよーねー私もやだ(え) (2019年11月4日 13時) (レス) id: 77570be88d (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - うわー…こんな母親絶対ヤダ! (2019年11月3日 19時) (レス) id: 2dbd3a86f8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむりんこむ - つくもさん» 待ち遠しかったね (2019年11月3日 17時) (レス) id: 77570be88d (このIDを非表示/違反報告)
つくも - 別垢→本垢 わぁーいやっとくっついたぁぁー(^^) (2019年11月1日 19時) (レス) id: 28bca7f31f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽむりんこむ | 作成日時:2019年9月29日 18時