ほくとくらぶ。 (ページ29)

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にじゅうはちページ29

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北斗「じゃ、俺今日大学あるし行くね？」

カギをちゃらっと鳴らして振り返る北斗くん。

合鍵はさっき渡してくれた。

少し申し訳なくなって、眉毛を下げる。

『うん。ごめんね、入れてもらっちゃって…』

北斗「全然。あ、今日Aも大学？」

『１０時からね。昼には終わるよ。』

にこやかにそう答えると、北斗くんは少し目を逸らして、でもまた正面を見て言った。

その顔は心なしか赤い、ような……

北斗「じゃ、ランチしない？」

思って見なかった一言に、私は内心驚いたけど態度には示さない。

大きく頷く。

『いいよ。お昼って言っても、終わるの１１時半くらい…なんだけど、』

北斗「おっけー、迎に行く。」

快くそう言ってくれた北斗くんに、わたしは「ありがと」とお礼を伝えて鞄を開けた。

…はあ。

スマホと、財布、そして大学のカバン。

これだけ持ってたのが幸いだな。

と思いながら、今日はいらない教科である教科書を抜いた。

北斗「じゃあ、行くね？」

ひょこっと玄関のドアから覗き込む北斗くん。

なんだか可愛くて、私は笑った。

『うん、行ってらっしゃい。』

新婚さんみたいだな、なんて馬鹿な考えばかりが浮かんだので考えを消すように頭を振った。

がちゃん、と思いドアの閉まる音が聞こえる。

はあ、緊張した。

いくらなんでも、男女だし、しかも彼のことを意識しているんだから。

そんな相手と寝たなんて…寝ただけだけど、なんか、なんか。

無性にジタバタしたくなるけど自分の家ではない。

ごろん、と寝転んで見た。ごめんね北斗くん。

周りを見渡すと、シンプルな家具にテレビやキッチン。

北斗くんぽいな、なんて思って微笑ましく笑った。

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