スランプ ページ20
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「Aちゃんはかずくんにほれちゃいそうなの?」
「……ゆうちゃんの真似しないでよ、可愛くない」
「ひひっ(笑)」
まためんどくさいのに見つかった。
さっきまでのハイテンション返せ。
「……聞いたで、慎から。まぁそーゆー時もあるわ。俺もあったし」
「……、」
「今お前に何がわかんねんって思うたやろ」
「うん」
「いやめっちゃ素直」
壱馬はふふっと笑って、ス〇バのカフェオレをくれた。
ス〇バってこんな夜でも開いてるんだね、知らなかった。
「あの子も言うてたやろ。Aさんはかっこいいねん」
「……。」
「周りはかっこいいって思うてるけど、自分ではあんまりそうは思わない方がええで」
「……、?」
「Aさん溜め込んじゃうタイプやから、どーせ今回もプレッシャーに潰されとんやろ」
「……。」
「周りの声は聞かない。……て言うても難しいけどな(笑)」
しょへみたいにエゴサしてないからまだ楽やろ、とコーヒーを飲みながら桜を見る壱馬。
かっこいいなぁ。画になる。
私とは大違い。
「……今かっこいいなぁとか思うたやろ。」
「ナルシスト」
「ふざけんな(笑)」
「んふ、(笑)」
「まぁそういうことや。変にこの人はかっこええとか思わんくてええから」
「どういうことかわかんないけどまぁ。うん。」
「うん。(笑)」
自分だけ見てりゃええよ、と頭を撫でる壱馬。
年下のくせに生意気な。
……と素直になれないのは私の悪い癖。
どうにかなんないのかね、これ。
「さ、そろそろ帰んで。北人が待っとる」
「はぁ、また私はめんどくさいのに絡まれるのか」
「もはやそーゆー運命やな」
「やだよそんな運命」
壱馬はまたひひっと笑って、寮に向かって歩き出した。
「……壱馬」
「ん?」
「ありがと」
「俺なんもしてないで。姉貴にカフェオレあげたくらいやろ」
ホンマ帰んで、とまた歩き始めた。
「んふ、ありがと」
「なに急に(笑)」
「カフェオレもいいけど夜桜にはやっぱり日本酒かな」
「じゃあ今度は日本酒買わなあかんなぁ」
「でも壱馬1人で飲み干しそう」
「んな事せぇへんわ(笑)」
「じゃあまた今度夜桜でお花見だね」
「せやな、Aさんがスランプ抜けたらな」
「あら、当分先だ」
「頑張る気ゼロやんか(笑)」
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作者名:L | 作成日時:2020年3月27日 21時