ねこといぬの恋の話 (ページ13)

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、

眠れなかった。

知り合いが下にいると思うと
シャワーするのも緊張してしまう。

そう、知り合いだからであって

松村くんに限ってではない。

あー今日も仕事立て込んでるのにな。

テキトーに化粧を済ませて

スーパーで買いだめしたカップのコーヒーを一つ

冷蔵庫から取り出す。

カバンを肩からかけて

コーヒーを片手に持ったまま器用に靴を履いて

家を出た。

低めのヒールの音がコツコツと鳴り響く共同廊下。

階段を降り、エントランスには

…私の寝不足の原因の人物が立っていた。

「おはよ」

朝はローテンションなのか

壁にもたれかかりながら
少し低めの声で片手をあげた彼は

私の方へと歩み寄る。

『おはよ』

なんともないように挨拶をすると

彼は当たり前のように私の隣を歩く。

『いつから待ってたの？』

「言っても10分前ぐらい。
あと5分来なかったらいこーって思ってた」

いや、それでもなかなかだけどね。

と言うか、私を待ってた前提で話をしているけど

彼の行動からして間違いではないよね。