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𓃥 ページ21

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悲痛な叫びも虚しく、静かな部屋に響くだけ


そのまま放置しても埒が明かないので千切りは諦め、半べソをかきながらなんとかぶつ切りにするところまで漕ぎつけた


これにかつお節と醤油をかければ味は一緒だ、OK






散乱した調理器具をヌルヌルと格闘しながら洗い、そこら中に飛び散った長芋の残骸を拾い集めて布巾で拭きあげる


大した事はしていないはずなのにこれだけで疲労感が体を襲った


冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して数口飲んだ後、ラグの上に大の字で寝転がる






暫しぼーっと天井を眺めていると、玄関の扉の向こうからガサゴソ、ガタン!と鍵を開けるのを手こずっているような音がした後インターホンが鳴った


ここの電子ロックを開けられるのは私の他に数人しかいないし、そのもたつく音だけでもう誰だかなんて分かってるよ






「何をそんなにガチャガチャしてるんだね?ナムジュンくん」






扉を開けると破れた紙袋を脇に挟み、バツの悪そうな顔をして入ってきた


両手に一杯に抱えてるのはおそらく待ちわびたお土産たち


本当にたくさんある


彼の大きな腕から今にもこぼれ落ちそう


仕事終わりなのにシワひとつないスーツで髪は崩れずバッチリセットされているのに、表情はなんとも情けなくてミスマッチだ






『スマホで解錠しようとしたら電池切れで、それなら暗証番号でって思ったらど忘れして、A居るならインターホンでいいじゃんって気付いて押そうとしたら紙袋が破れたんだ』


「これぞナムジュニだね〜。そんな3連技簡単に出せるもんじゃないよ」


「自分でもびっくりだよ、ほんっっとに俺は。でも安心して、大事な酒瓶だけは守ったから」






言いながら腕の中の物を一気にテーブルに放すと、その大事な酒瓶が転がっていく


慌ててスライディングで滑り込んだらキャッチできた……セーフ






「3連じゃなくて4連だったね」


『わ、悪い……。ってあれ?Aその手どうした?ちょっと赤くなってかぶれてる』






もう離してやるまいと強く酒瓶を抱く私の手に彼の視線が向けられる


さっきの惨事の後、手を洗っただけでそのままにしてたの忘れてたや






「おつまみ作ろうと思ったら長芋に刺された。カユカッタ」


『なんでいつもやらないこと1人でやりだすんだよ。……まぁ俺もあんま人のこと言えないけど。ほら、こっち来い』



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作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/_hokorochan_  
作成日時:2022年11月27日 21時

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